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出過ぎクレーマー/出来過ぎオペレーター

「お待たせいたしました」
「おー、あんたんとこな。ちょっと高すぎんな。そう思わへん?」
「貴重なご意見、誠にありがとうございます」

「料金も高いし、CMも何か凝っとんな。ストーリーか」
「物語風に作らせていただいております」
「何が風やねん! 金かけすぎちゃうか」
「より多くの皆様方に知っていただけるよう放送させていただいておりますが、貴重な意見として承りさせていただきます」

「ほんで犬出過ぎちゃうか?」
「あくまでも設定の1つでございますので」
「なんで犬ばっかりやねん!」
「決してそういうわけではございませんので」
「ずーっと犬ばっかりやないかー!」
「ですのでそれはあくまでも物語の設定のですね……」

「猫わーい!」
「はい?」
「牛やったらあかんの? 羊やったらあかんの?」
「決してそういうことでは……」
「ネズミは退治しますってか?」
「そういったつもりはございませんので」
「つもりはなくても見る方はそう思うで」
「……」

「人間のパートナーは犬だけですよ。ゆーことやん」
「お客様、とんでもございません」
「出すんやったら平等に扱ってもらわんと、みんなそう思うんちゃうかな」
「ごもっともでございます」
「コンプライアンスしっかりせなあかんで」

「お牛様、お羊様につきましても、前向きに検討に入らせていただきますので」
「ほんま頼むでー! 安してやー!」
「かしこまりました」

「あと得なとこばっか強調しすぎちゃう? あれがお得や、これがお得や。得なとこはでーんと載せとるけど、損なとことか、条件つきのとこは何やあれ、虫か? 小さいな」
「虫ではございません」
「虫ちゃうんかーい! わかっとるわ!」
「……」

「虫かいうくらい小さい字やけど、何や読ませたくないんかな」
「決してそのようなことはございません」
「ほんならもっとバランス取ったらええやん。スペースの使い方おかしいで」
「それはお客様、ごもっともでございます」
「ほんまやで。商売はフェアにやらなあかん」
「前向きに検討させていただきます」

「ほんでちょっと儲けすぎちゃうか?」
「そこは様々な意見があると存じております」
「わしらが無駄にしゃべった分の儲けで何食ってんねん。高級寿司か? 高級ステーキかいな?」
「いえいえ、決してそのようなものばかりでは……」
「わし昨日何食べた思う?」
「……」

「わし昨日は竹輪やったで、それとカニかまとおうどんや」
「それはそれは」
「そんなんばっかやでー! 安してやー!」
「かしこまりました」

「ほんまできるんやろうな」
「2000円ほど下げさせていただきます」

「毎度おおきにー! 寿司行きますわー!」



#寿司 #うどん #小説 #働き方改革


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