寿司道
すぐに消えてすぐに現れる
儚い形が好きだった
消えたと思えば現れる
逞しい形が愛おしかった
チョコレート おかき
葡萄 キャンディー
猫 愛情 お話
「いらっしゃい」
古びた暖簾の寿司屋に
飛び込むのが好きだった
「へいお待ち! イカです」
はじめに頼んだのはイカ
シャリの上に伸びたイカ
「伸びがいいでしょう」
大将自慢のイカは皿から伸びて
店の外にまではみ出している
それは私の好みとは少し違う
「端から行っちゃってください」
シャリを置いて伸びすぎたイカは
隣の町へと通じているという
手をつけずに見下ろしていると
店外から雀がイカの上を渡ってきた
「へいらっしゃい!」
来るものは拒まず
ウェルカムな店らしかった
「これはいただけません」
この寿司はもう道じゃないですか!
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