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【夢のミッション】

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みた夢の小説。他に、夢にまつわる話を少し。
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#不条理

もうかえるところがなくなった

もうかえるところがなくなった

 打者一巡の猛攻が続いた。そこから先はよく覚えていない。打者は幾度となく巡ったようだ。その間にユニホームは何度もデザインを変えた。季節は巡り打者は年老いて流し打ちが増えたが、また巡りながら成長し世代を変えていく者も現れた。僕は独り火だるまになりながらマウンドに立ち続けた。ブルペンから駆けつける者も何人かはいたが、その度に強風が吹いたり怪獣が現れたりして、結局たどり着く者は誰もいなかった。体調を気遣

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やい! 待ちやがれ!

 出発を待っていると反対のホームに別の電車が入ってきた。座っていた人がバタバタと席を立って駆けていく。きっと向こうの列車の方が先に出るのかもしれない。急ぐわけでもないが、それほど皆が行くのならば……。流されるように僕は席を立った。その時、他の人もそのように思ったに違いない。多くの人が終着駅のように降りていく。勢いに押し出されるように僕はホームに運ばれた。それにはとどまらずにホームを越えて新しくやっ

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仮装マンション

 3日振りに帰ってきた。
 エントランスを抜けてしばらく行くと通路は記憶よりも長かった。エレベーターが3つに増えている。ボタンを押すとすぐに下りてきて扉が開いた。10人は乗れるほど広い。すぐに7階に着いた。乗り込んでくるスーツの男に無言でおじぎをした。特に反応はなかった。区役所に来たようにざわついている。何か様子がおかしい。705号室の入り口はどこにもない。

不良少年課、交通トラブル課……。なん

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