見出し画像

Paxette III のレンズセット

35,50,90mmのセットが揃う

パクセッテという、今となっては中古カメラ店にあまり並ばなくなってしまったカメラの、さらにマイナーと思われる最終型マウント用のレンズが、何やかやで3本のセットになった。
カメラについて以前書いた記事はこちら。

パクセッテといえば、ライカスクリューマウントと同じねじ径のマウントをもつカメラ(ただしフランジバックはライカより長いので、レンズは共用できない)の系統の方がポピュラーだったのではないだろうか。少なくとも20年前くらいの中古カメラ市場ではそうだった。今は普及機のレンジファインダー機は非常に安くなってしまい、修理をして売るのは費用対効果が悪く、パクセッテのようなカメラはほぼ市場から姿を消してしまっている。
そんな状況ではあるが、こまめに市場を探すとたまにレンズの出物があるものだ。そんなわけで、パクセッテIII型用レンズが3本揃ったので、新たに入手した35mmと90mmの写真をアップしようと思う。

パクセッテIII用のレンズ

私がネットで見た資料によると、パクセッテIII用には以下のレンズが出たとされているが、*印をつけたウルトラリタゴン28mm、テレエナリート200mmは資料となる画像もなく、おそらく出なかったのではないかと推定される。それでも、35,50,90,135mmの4種類がラインナップされていて、通常の身の回りの撮影には十分対応できるものだ。供給元が複数の会社だから、レンズそのもののスペックも異なるし、外観デザインもまちまち、レンズロックピンの形状も違っているので、本当に対応しているレンズなのかと迷ってしまうが、レンズの銘板にSLKと入っていればこのカメラマウントになっている。同様のプロンターマウントを使ったキング レグラシリーズの場合は、レンズ銘の前にRegula-という文字がつく。フォタヴィットマウントについては現物を見たことがないのでわからない。
・エンナ
Ultra-Lithagon 28mmF3.5 *
Lithagon 35mmF3.5
Color-Ennalyt 50mmF1.9
Color-Ennit 50mmF2.8
Tele-Ennalyt 90mmF3.5
Tele-Ennalyt 135mmF3.5
Tele-Ennalyt 200mmF4.5 *
一見して分かる通り、一番バラエティに富んだラインナップを提供していたメーカーだ。この中ではカラーエンニット50mmとテレエナリート135mmが市場でよく見られるレンズではなかろうか。50mmF1.9のレンズは非常にレアで、私はヴィーンの中古カメラ店が長年売り場に出している(そして高すぎて誰も買わない)のを見ていたが、それ以外の店で見たことがない。
上記のうち、テレエナリート90mmを手に入れた。

・シュタインハイル
Quinon 50mmF1.9
Culminar 50mmF2.8
標準レンズだけ2種類というラインナップだ。クヴィノン(キノン)50mmF1.9は類似マウントのレグラシリーズ用の方でたまに見かけるが、パクセッテIII用は見たことがない。クルミナーのほうを、カメラとセットで入手している(前回記事の写真は全てこれによるものである)。
なお、他の2社とピントリングの回転方向が異なる。シュタインハイルだけはライカと同じで、他はニコンやペンタックスと同じ方向になる。

・イシュコ
Westron 35mmF3.5
Color-Ultralit 50mmF2.8
こちらは広角と標準の2本。ヴェストロン35mmは資料では見られないのだが、eBayに出物があり、SLKとなっていたのでこのカメラ用で間違いないと判断して購入した。

この頃のレンズは、M42やエキザクタ、さらにはデッケルマウントにも供給されていたりするので、何もこのようなマイナーなカメラマウントで揃えなくても、それぞれの一番メジャーなマウントで手に入れてミラーレスデジタルカメラにマウントアダプターを経由して装着すれば良いと思う。なにしろ、そのやり方で使えば、カメラやレンズの精度のばらつきがあったとしても実際の撮像面でのピントをみて撮ることができるから確実である。
それでも、オリジナルのカメラで撮ってみたいというのがこのnoteシリーズの記事なので、そういうパターンで今後も続けて行くつもりだ。

35mm、90mmで撮った写真

両レンズの写真とも、フジフイルムのISO100ネガを使用している。

Westron 35mmF3.5
周辺光量落ちが目立つのと、全体にコントラストと解像度が低く、キリっとした写真になりにくい。

自宅にて
Westron35mmF3.5/ F8, 4sec, 三脚
川崎マリエンにて
Westron35mmF3.5/ F3.5, 1/60
川崎マリエンにて
Westron35mmF3.5/ F3.5, 1/8
東扇島 東公園にて
Westron35mmF3.5/ F3.5, 1/300
東扇島 東公園にて
Westron35mmF3.5/ F8 1/2, 1/60

Tele-Ennalyt 90mmF3.5
35mmに比べると全体に整った画像になる。レンズのピントリングの回転角が大きく、カメラの二重像の動きが緩やかなのに加えて、自分の持っているカメラの二重像が薄いため、ピント合わせが難しい。

自宅近くにて
Tele-Ennalyt 90mmF3.5/ F5.6, 1/300
扇町駅近くにて
Tele-Ennalyt 90mmF3.5/ F8, 1/60
南武支線
Tele-Ennalyt 90mmF3.5/ FF3.5, 1/30
川崎マリエンにて
Tele-Ennalyt 90mmF3.5/ F3.5, 1/125
東扇島 東公園にて
Tele-Ennalyt 90mmF3.5/ F8, 1/125

おわりに

今となってはマイナーな分野のさらにマイナーな機種ということで半ばあきらめていた撮影セットが揃った。これは嬉しいことだ。レンズ自体は35mmが若干画質がよくないのを除けば、他は十分しっかりしているので、このセットで出かけるのも楽しいと思う。
あとは、カメラの距離計の二重像をもっとはっきりと見るために修理を依頼するか、というところだが、おそらくカメラ本体より高くつくので躊躇している。もう少し考えてみる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?