061「翼竜の帰還」

ヘリポートに翼竜が降下する。降下すべき、固定された運命にしたがって、高層ビルの屋上の、巨大化したようにも見える、悲しき一匹の翼竜の激しい風を、生みだす翼を、へし折りに、行かなければならない人がいる。反旗をひるがえす。都市を、愛さなければならない。都市は、巨大化したようにも屋上、降下すべき、都市の悲しき、ヘリポートの、運命が、風を生みだすが、人々の頭部の次々にかみ砕かれ、図鑑に掲載されてゆく、高層ビルが降下する。一匹の生み風を降下が、命ばかりの道をへし折りに、運命した巨大化固定する。愛さなければならない、巨大化した翼竜を仕留め、反旗をひるがえす運命運。魔境である、一帯の人肉の森で、根はのびつづけ、憐むように、翼竜は翼竜し翼竜の胃のなかに、無数の人間の頭部が、つめこまれてゆく深夜、運命を、愛さなければならない。都市に、悲しき一匹の人間が、たちずさむ、屋上。固定されたような人影が、家族の名をきれぎれにつぶやく。もっとも巨大なものは風であり、降下してゆく翼竜は台風のように荒々しく無機質な暴力のくろがねをまとっている。都市をへし折る翼竜が、家族の名をきれぎれにつぶやく。悲しき一匹の都市となって、都市はかみ砕かれる。生物の体内の魔境に居をかまえ、居は巨大化してゆく。ふいに、「エリーゼのために」を口ずさむ人が、ヘリポートの運命のふもとにたちずさむのを、翼竜は舞いもどり、聞いている。図鑑が、かみ砕かれてゆく。脳髄という脳髄がうしなわれなければ、都市を愛することができない。悲しい人々が、家族の名をきれぎれにつぶやく。翼竜は、風を愛さなければならない。