ガソリンスタンドの経営における目的、目標、手段の違い
１．ガソリンスタンドの経営における目的、目標、手段の違い
■目的、目標、手段とは
ガソリンスタンドは、売上や利益を上げるために様々な取り組みを行っています。しかし、その取組みは本当に効果的なものでしょうか？また、その取組みは目的なのでしょうか、目標なのでしょうか、手段なのでしょうか？
目的、目標、手段は以下のように定義することが可能です。
目的とは、達成したい最終的な状態や理想です。
目標とは目的に近づくために設定する具体的な数値や期限です。
手段とは目標を達成するために行う具体的な行動や方法です。
これらの違いは以下のように説明することができます。
■帰省における目的、目標、手段
私は、青森県出身なので、お盆期間には、現在住んでいる埼玉から実家のある青森まで高速道路を使って帰省します。
埼玉から青森までの距離は約800kmで、道中は渋滞もするため、片道12時間ほどかかります。新幹線で行くこともできますが、私はサービスエリアのご当地グルメを楽しみたいので、自家用車で行くことにしています。
サービスエリアには、その土地でしか食べられないものがたくさんあります。群馬では「上州牛丼」、栃木では「宇都宮餃子」、福島では「いかにんじん」、宮城では「牛タン」、岩手では「わんこそば」、秋田では「きりたんぽ」など、どれも絶品です。
新幹線は移動時間が短くて楽ですが、グルメは限られています。それなら、長い道のりで色々な美味しいものを食べながら帰省した方が、楽しめるはずです。
そのため、出発前には車の整備と乗り物酔いの薬を準備しますし、朝早く出発するので、前日は早めに就寝します。
つまり、目的地は青森ですが、そこに到達するためには、群馬、栃木、福島、宮城、岩手、秋田という6つの目標地点を通過する必要があります。そして、それぞれの目標地点に安全かつ安心に到達するために、整備や薬の準備、十分な睡眠といった手段を講じます。これが、目的・目標・手段の違いと言えます。
では、ガソリンスタンドにおける、目的、目標、手段の具体例を見ていきます。
■ガソリンスタンドの目的、目標、手段の例
以下にガソリンスタンドの具体的な目的、目標、手段の例を示します。
ガソリンスタンドの経営における目的の例
トータルカーライフサポートを提供する
お客様の「ありがとう」を最大化する
地域社会への貢献度を最大化する
お客様のカーライフをより充実化させる
地域密着度を向上させる
ガソリンスタンドの経営における目標の例売上高を10%増やす
利益を1億円にする
顧客満足度を5段階評価で4以上にする
従業員の定着率を90%にする
ガソリンスタンドの経営における手段の例新商品を導入する
キャンペーンを実施する
接客を改善する
教育制度を充実させる
地域イベントに参加する
このような目的、目標、手段は、共有することにより、組織としての一体感が生まれ、効果と効率の向上が期待できます。ですが、以下で示す「すり替え」が発生しないように留意する必要があります。
■手段が目的や目標にすり替わってしまうと？
手段はあくまでも目標や目的に近づくためのものであり、それ自体がゴールではありません。しかし、手段が目的や目標にすり替わってしまうと、本当に重要なことが見失われてしまうリスクが発生します。
あるガソリンスタンドの店長は、来店客の客単価を上げるために、ガソリン以外の商品の販売に力を入れています。そして、スタッフ全員に販売の声掛けを1日100回させることにしました。
しかし、店長は手段である「販売の声掛けを1日100回する」ことに固執し、目標である「売上高を上げる」ことを見失ってしまいました。
ある日、スタッフAは声掛け数80回で売上高50,000円を達成しました。一方、スタッフBは声掛け数120回で売上高3,000円に留まりました。
この結果を受け、店長は声掛け数の少ないスタッフAを叱責し、声掛け数の多いスタッフBを賞賛し、スタッフAはこれに納得できず、辞表を提出してしまいました。
この事例から、手段と目標を混同すると、本来の目的を達成できなくなることがわかります。このように、手段が目的や目標にすり替わってしまうと、本来の経営の方向性がぶれてしまい、効果的な取り組みができなくなってしまいます。
ガソリンスタンドの経営においては、目的、目標、手段を明確にすることが重要です。手段はあくまでも目標や目的を達成するためのものであり、それ自体がゴールではないことに留意したいところです。
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