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筆さばき、まさに融通無碍~東京ステーションギャラリー「河鍋暁斎の底力」

もはや異端の絵師とは言い難いほど、近年展覧会の機会が増えた河鍋暁斎。
今回はなんとその下絵のみの展覧会という。
「え、完成品じゃないの?」
そんな声も聞こえてきそうだが。。
東京ステーションギャラリーで開催の「河鍋暁斎の底力」

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幕末から明治にかけての絵師であるが、そのバックボーンは日本画にある暁斎。しかしこれらの下絵を見てまず感嘆したのは、そのデッサン力の高さである。洋画の教育がまだ確立していなかった時代にあって、どうやって身につけたのだろう。
このデッサン力あってこそ、席画と呼ばれる即興で書かれた手すさびの絵であっても全く構図がブレることがない。
正確なデッサンに加えて目を引くのが、執拗な書き込みである。下絵なのに、いや下絵だからこそなのか、筆でこれでもかと模様を書き込んでいく。

あとは何と言っても群像画の巧みさである。大人数が登場する絵を描くとなると、それは構図の設計だけでも熟考を要するはずなのだが、暁斎はいとも簡単に筆を走らせる。

そう、筆が走っているのだ。まさに融通無碍。

下絵だけで完成品がない。それで面白いのだろうか。
そんな不安はまったくの杞憂どころか、ただただ、その画力に圧倒された展覧会であった。

世界よ、これが暁斎だ!

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