カメラ好きならマップカメラの株を買うのはアリかもしれない
カメラが好きな人なら誰もが知っているカメラ屋「マップカメラ」。新宿にしか店舗がないにも関わらず、製品の状態に依らず固定額でカメラ・レンズを買い取る「ワンプライス買取」をベースに、ECサイトで売買が完結する便利さから地方に住むカメラ好きにも人気のお店である。このマップカメラだが、企業としてはカメラの他に時計、文具、自転車を取り扱っている「シュッピン」という名の株式会社で東証一部上場を果たしている。しかも、創業者(現 会長)の鈴木慶氏は、過去にはソフマップ、ドリームテクノロジーズを一部上場させた実績の持ち主であり、疑う余地の無い超一流の経営者なのだ。
そんな圧倒的な知名度を誇るマップカメラだが、実は株主優待が圧倒的にお得なことはあまり知られていない。年に一回、シュッピンの店舗で利用できる「ご購入時 5,000円割引 ご売却時 5%上乗せ」される優待券が配られるのだ(有効期限:一年)。この優待券には「100株で1枚、300株で二枚、、」といった基準で配られるのだが、なんと二年以上継続して保有している株主は一枚追加される神仕様なのだ。
しかも、株主優待が充実しているにも関わらず配当金も増配傾向で直近では配当性向は30%を超えている。しかも、自社株買い(株価を引き上げるので株主の利益になる)も定期的に実施するのだ。株主のことを非常に大事にしている姿勢が伺える。
(シュッピン公式サイトより抜粋:https://www.syuppin.co.jp/ir/individual/stock/?id=2)
ここまで読んだ読者諸氏は、株主還元について、金額ベースでの投資対効果を知りたくなったのではないだろうか。その期待に応え、一番金額的な負担の少ない100株(単元株)購入のケースで試算する。なお、株主優待と配当金は"現在の金額を維持"するものとする。
まずは、投資の面ではシュッピンの株価は874円(2020/10/4現在)なので、100株だと87,400円である。売買手数料はどの証券会社を使うかによるが、キリ良い数字にするために600円(けっこう割高)と仮置きして88,000円とする。次に効果。株主優待券は「ご購入時 5,000円割引 ご売却時 5%上乗せ」なので、保証されている最低額「5,000円」を効果として採用する。もちろん売却金1,000円に5%上乗せ(=50円アップ)という5,000円を下回ることも可能だが、普通やらないだろう。配当金は14円/株であるため、100株であれば税引後金額は976円である(1,400円の税金20.315%引き)。まとめると下記だ。
投資:88,000円、(最低)効果:5,976円/年 → (最低)利回り6.7%
株取引を少しでも齧っている人ならば、最低でも「税引後利回り6.7%」の凄さに驚くであろう。ちなみに、20.315%の課税回避手段もあるのだが、その説明は割愛する(NISAがその一つだが、筆者は推奨しない)。しかも、これだけではない。繰り返しとなるが、二年保有していると優待券をもう一枚貰えるのである。つまり三年目からは、最低でも11,976円が効果になる。
投資:88,000円、(最低)効果:11,976円/年 → (最低)利回り13.6%(三年目以降)
やばたにえんである。直近の東証一部上場銘柄の平均配当利回りが2%と言う事実から考えると、最低でも「"税金後"利回り13.6%」が保証されることが、いかに異常な数字であることか分かる。分かりやすく言うと、八年間株を保有していれば、株が突然紙屑(=0円)になっても損をしないのだ。そんな銘柄があって良いのか。あたおかすぎて、ぴえん。
それでは、最後に取得後シミュレーションとまとめを行う。上で八年間保有で損をしないと書いたが、実際には最初二年間は利回りは低い(それでも異様に高い)ので、効果が上回るのは9年後となる(下記シミュレーション参照)。しかも、さらに凄いのが、これはあくまで最低保証である「購入5,000円」をベースとした場合という事だ。実際にはカメラ・レンズの売却総額が10万を超えることも多いと思うので、さらなる効果が期待できる。具体的なユースケースとして、EOS 5DmarkIVを売却してEOS R5を購入する状況では、5DmarkIVの売却額が129,000円(2020/10/4現在)であるため6,450円が効果となるのだ。ちなみに、Leica M10-P ブラッククロームの売却額は540,600円(2020/10/4現在)であるため27,030円が効果となる。
シミュレーション
投資 (最低)効果(累積)
一年目:88,000円 5,976円 ←5,976円/年
二年目: 11,976円
三年目: 23,928円 ←ここから11,976円/年
四年目: 35,904円
五年目: 47,880円
六年目: 59,856円
七年目: 71,832円
八年目: 83,808円
九年目: 95,784円 ←ここでペイ
もちろん、カメラ・レンズだけでなくストラップなどの関連商品の一切を買わない人もいるだろう。その場合は、配当金だけしかメリットがないのでお得とは言い切れない(ヤフオクで売る方法もあるが割愛)。ただ、カメラが好きで、あと五年はやるよという人は買っても損はない。シミュレーションに従うと、五年の効果は(最低)47,880円だが、併せて株価を売却することとして売却益も含めれば、十分ペイできるからだ(株価の下落半減までと想定)。しかも、本銘柄は典型的な「インバウンド銘柄」と目されていたため、コロナによる大幅な株価下落が起き、一時550円付近までになり現在の874円まで回復したという状況だが、コロナ前の株価はアベノミクスの恩恵もあり1,000円以上だった。長期視点(数年以上)では割安感がある(なお、短期的には割高判定)と言える。
当然、株価は必ずしも上がるわけではない。例えば、いきなりステーキを運営するペッパーフードサービスの株価は全盛期の1/10以下になっており、さらには上場廃止の可能性まである。しかし、たとえシュッピンの株価が0円まで下がる異常事態が発生しても、上記シミュレーションの通り、九年目でペイできるのである。なお、筆者は機材のベースがライカである特性上、購入売買額が比較的高いので、投資額はあっと言う間にペイできたことを付け加えておく。これからは毎年配られる優待券と配当金での「お釣り生活」である。筆者の経験上、カメラを趣味とする人は比較的に高収入が多く、このような財テクには興味がないどころか、みみっちいと思う人も多いと思う。ただ、もし筆者のように平凡なサラリーマンでありながらカメラを趣味に選んでしまった諸氏(特にライカオーナー)には一考の余地はあるのでは、と思慮する。そのような読者のお役に立てれば幸甚だ。
それでは、良き写活と良きnoteライフを。
日本にはチップ文化が無いのでサポートするって習慣は馴染まないけど、そんな中サポートしてくれる人は素敵だと思います😭