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デトロイト・ロック・シティ / キッス Detroit Rock City / KISS

クイーン、エアロスミスときたらお次は、
そうですキッスです。
当然です。
KISSはバンド名を全部英大文字で書かないと。

当時NHKで「ヤング・ミュージック・ショー」という番組を不定期に放送していた。
洋楽のアーティストが動いている姿を見ることのできる貴重な番組だ。
今思えばお堅いイメージのNHKがよくぞこの番組を放送してくれたなと。
それにしても「ヤングミュージックショー」て。

他にもこの番組で放送されて覚えているのはベイ・シティ・ローラーズを皮切りに、デヴィッド・ボウイ、ブームタウン・ラッツ、ザ・ポリス、ザ・クラッシュ、ザ・キンクスなどなど。
結構いいラインナップだったように思う。
土曜日に放送していたけど昔は土曜日は午前中授業があって、午後は部活があった。放送がある日は部活はバックレた。

この番組でKISSを初めて見た。
そういう人は多いはずだ。
テレビの前にかじりついて待っていると番組タイトルが出て、次の瞬間
「ユーなんとかかんとか(もちろん英語)なんとかかんとか 
キーーーッス!」

「デロデロデロデロデロデロデロデロデロデロデロデロ 
ダガダガダガダッ
ダダーンッ」

デトロイト・ロック・シティのイントロが流れて炎か煙かなんかモクモクしてたような。
で、メンバーが階段から登場した。

うおおおおおおおおおおおおっ!
なんかすげえええええええ!

ステージ上を所狭しと飛んだり跳ねたり走ったり。
え?こんなに動いていいの?
座ってギターを弾いていた俺はショックを受けた。

おーポール、レコードと同じ声だ、カッコいいー。
ジーンも動くなー、すごいなー、舌ベロ長いなー。
おいおいエースをもっと映してくれよ、俺はエースが好きなんだよ。
エースのちょっと後ろに重心がかかったような立ち姿がとにかくカッコいいんだよ。
宇宙服みたいな衣装も銀色に光ってカッコええええ。

そして曲のクライマックス。
ポールとエースが絡んでツインギターのソロを始める。
ギャーーーーーーッ!かっちょえええええええ!

あとはよく覚えていない。
でも確か「ラブ・ガン」のアルバムが出たあとぐらいだったので曲はある程度知っていた。昔はアルバムのコンプリートなんて無理だった。
お金もないし、田舎だし。
そのあとも聞き覚えのある曲が次々と演奏され、あっという間に番組は終わった。
夢を見ているようだった。
ほとんど何も覚えていない。
当時はビデオなんてないからね。
でも田舎の中学生にはあまりにも大きなインパクトを残した。

テレビ放送が終わってからというもの、しばらくの間はKISS熱に浮かされていた。
アライブ2のレコードの見開きステージ写真をレコード棚に飾って大音量で聴いていたら、父親が「おい、あんまり変なもんにカブレるんじゃないぞ」などと心配して言ってきた。
俺は心の中で「お父さん、大丈夫だよ、もう充分カブレてるから」と答えた。※これは脚色です

その後、パンクの嵐が吹き荒れて、NEW WAVEの波が起こり、しばらくはKISSとも離れていたが、2022年11月30日の東京ドーム一夜限りのアンコール公演を観に行った。これが最後だと思ったので、いてもたってもいられず。
オープニングにツェッペリンの「ロックンロール」が流れて、「デトロイト・ロック・シティ」のイントロが流れた。

うおおおおおおおおおおおおっ!

45年の月日を飛び越えて、中学時代に始めてテレビでKISSを見た時に一瞬で巻き戻された。あー本物だ動いてる。俺はこれが好きだったんだ。

2曲目の「シャウト・イット・アウト・ラウド」のイントロが始まった時,
いい年して泣いた。

ああ、俺が聴いてきた音楽は正しかったんだ。



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