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お料理マンボ/森尾由美 Oryouri Mambo / Yumi Morio

女性アイドルにはまったく興味がなかったけど、どういうわけか10代の頃から一人だけ追いかけている(と言ってもメディアに出ているのを見ているだけだが)アイドルがいる。

森尾由美さんだ。

駅前レコード店の三兄弟の真ん中のアイドル担当のお兄さん(「の」が多いな)が熱烈な中森明菜ファンで、行くたびにあまりに熱弁をふるって明菜を絶賛してくるので、こちらも負けじと何かアイドルのレコードを買ってやれとなったわけだ。

ためしにレコード棚の一番手前にあったシングルを手に取って買ってみた。
無意識ながらなんとなく容姿が好みだったのかもしれない。

アイドルですから。

それからしばらくたって後日発売された2枚目のシングルはきれいな色のカラーレコードだったので、迷わず買った。
当時はカラーレコードなんてまだまだあまりポピュラーではなくて、
レコード会社が力を入れている証だったのだ。
海外でも流行り始めていたしね。

そして気が付けば数年かけてすべてのシングルとアルバムを買っていた。
さらに写真集もすべて買っていた。
今でも週刊誌の表紙などに掲載されているとつい買ってしまう。
押し入れには「森尾由美BOX」があって、そこには40年来のお宝が眠っているのだ。

まあアイドルですから。

ミス・マガジン出身だったので当時としては画期的な「写真撮影OKのファーストデビューコンサート」にも出かけていった。
日本青年館だったかな?
チケットはカメラの形をした本人の写真入りのものだった。

まあね、アイドルですから。

今思えばなんでこんなことになったんだろうと思う。

当時は85年デビューの本田美奈子の追い上げがすさまじく、豊作の82年組との間に挟まれて不作の83年組と言われた森尾由美は不運なことにすぐに目立たない存在になってしまった。

しかしそのあとも「元気が出るテレビ」、「こち亀」の麗子役、「大好き!五つ子ちゃん」、「はやく起きた朝は」などなど着実に出演を重ね、今や押しも押されぬ好感度の絶頂の大女優タレントさんなのだ。
あ、そうそう、森田芳光監督の「それから」も漱石と監督の美意識に貫かれた素敵な映画だった。
なにせ笠智衆や松田優作と共演してますからね。
えへん。
主人公である松田優作の姪っ子役だったかな。

当時勤めていたPA会社の社長がアイドル好きで、
「俺君はアイドル誰が好きなの?」と聞かれ、
「森尾由美です」と答えたら、
「森尾由美はもう終わってるよー、わはははっ」と笑われてしまった。
その時は少し悔しかったけど、結局今になってみれば当時のアイドルの誰よりも長くコンスタントな活動をしているのだ。

結果論とはいえ、俺の審美眼もなかなかのものだと自画自賛している。

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