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孫とじぃじの奮闘記【7】

〜優しさに包まれたなら〜

この4月から3番目の孫が
保育園に通う事になり
先日、妻や子供達は必要物品の
購入や買い物もあり出掛けた

という事は
家には私と4歳のハルと
3歳のユウキの3人

10時のオヤツを終えてから
3人でお絵かきやブロックで
しこたま遊んでいると
気がつけば いつの間にやら
お昼ゴハンの時間

私はオムライスを作ると
2人に高らかに宣言

孫2人の歓喜の声が
リビングに響き渡る
大歓声を背に私はキッチンへ

ゴハンを冷ましながら
タマネギを切り 卵を割る
鶏肉を食べやすいようカット
調味料やお皿を準備し
フライパンを用意する

準備万端と思いきや
炒める時に使用する
木ベラを忘れていた

『私も…年老いたな』

まるでアニメに登場する
白髪の老師のようなつぶやきを
漏らし木ベラを手にとり
作業を再開しようとIHコンロへ
振り返った刹那であった

ガシャコン!

大きな音とともに足を強打
フライパンを収納していた
引き出しを閉め忘れていたのだ

スネをぶつけた痛みに
私は思わず言葉を漏らす

『私も…年老いたな…!』

この短時間で2回も
このセリフを言うとは…

思いもよらないアクシデントに
キッチンで悶絶していると

ガシャコン!という音に
反応したハルがリビングから
走ってくる足音が

『じぃじ!だいじょうぶ?!』
と不安気な表情で私に駆け寄る

『ここ?ここがいたいの?!』
私が手で押さえていたスネを
痛々しい表情で見ている

『ちょっとまってて!』
そう言い残すと再びリビングへ

何をするかと思いきや
自分のタオルを持って
再び私の元へ駆け寄る

『だいじょうぶ!
 だいじょうぶだからね!』

そうハルは繰り返しながら
自分のタオルを一生懸命
私のスネに巻き付けている

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もう痛みもなければケガもない
大人からすれば大した事ではない

しかしハルからすれば
日常で痛いなどとは言わない
じぃじが一瞬でも痛がっていた

それだけでもハルにとっては
大事件だったのだろう

『ホウタイまいたから
 だいじょうぶだけど
 びょういんはいってね?』

そう言いながら私の
ヒザをなでている

私はハルの優しさに心あらわれ
しばし身を委ねる事にした

脳裏にはユーミンのあの曲が
流れ出し感動にひたり出した
その数秒後

『じゃあ、そろそろ
 オムライスにしよっか』

ハルが軽やかに言い放った

この瞬発力…この振り幅…

私はハルの優しさに包まれるより
すぐさま卵でゴハンを包んだ

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