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入院日記⑤知ったかぶりは何を招く?

入院6日目。日付感覚がガタガタになりつつある弥生です。こんにちは。

明け方から足の痛みが強くなり、「痛い痛い」と思ってたら、お隣の新しい同居人の奥様も「いたい……いたい……」と、うわ言をおっしゃってました。

朝起きて、元気な看護師さん(男性)が「おはよー! 朝ごはんがくるよ!」と6時半にたたき起こされ、カーテンを勢いよくあけて納得。

雨じゃん!!

雨の日は傷が痛い。沁みるような痛さ。
専門学校時代の友人が久しぶりにTwitterで「雨の日ってなんで傷痛いんだろうね」的なリプをくれて、「原理しらなくても生きていける」と素気ない返事をする程度に足が痛い。

さて、今日のお話は「知ったかぶりしてたっていいことない」について。

私の幼少期からの悪癖として知ったかぶりがあります。
というより、どこまで自分が知っていて、どこから知らないのかを自分で客観的に判断するのが難しい性質です。

言葉を選ばずに表現するなら、50歳の管理職のおじさまが最近流行ってる言葉を日常会話に入れ込む原理と一緒。
昔から友人に「難しい言葉ばっかり使ってよくない」「自分を頭よさそうに見せようとしている」と散々指摘されてました。
それでも抜けない悪癖です。

ゆえに、「タイトル知ってるけど中身を知らない映画」は山ほどあるし、「言葉は知ってるけど理解していない概念」も山ほどあるのです。

それで起きることは「●●知ってる?」と聞かれて「言葉は知ってる」と返答する。相手は言葉を知っているなら中身知ってるだろうと話しはじめて、情報の齟齬で会話がちぐはぐになることがあるのです。
(私は幸せなことに、知ったかぶりだろと指摘してこない優しい方々に囲まれて生きております。ありがたい)

で。話かわるんですけど。

私、「マクベス」知らなかったんですよね。
シェイクスピアの4代悲劇のマクベス。
っていうか、シェイクスピアを読んだことすらない。

ある提案をするときに「劇団でマクベスやったら面白いんじゃね?」と。
非常にあっけらかんと何も考えずに提案したわけです。
悲劇なことは知ってたし、人気の演目だし、何しろタイトル恰好いいもんね?と。

その提案は頭の中にずっとあって、実現可能かどうか気になって、マクベスを読みました。
戯曲ベースだとなかなか理解が難しいところがあるので、マクベスのストーリー解説を調べたり、少々歴史背景を調べながら読み切りました。

読んだ後の感想。

……このまんまの話だとうちの劇団じゃ上演できねーじゃん。

知ったかぶりで気楽に提案するもんじゃねーな。でも、こういう機会でもなければ。そしてこの思い付きがなければ、きっとシェイクスピアを読むことはなかったのではないかと思いました。


結論。
知ったかぶりは得をしない。
だけど、知らないことを認識して行動したら知識を得られる。
言葉を知ることは、時間の余裕があれば自分の知識を拡張する目印になるんじゃないかな。

という、謎の自己肯定理論を振りかざしながら、今日ものんびり入院生活を満喫しようと思います。

1.今日見た映画


入院前に、色んな人から映画のおすすめ情報をいただきました。

本日見た映画の推薦は、転機与砲のゴリラ(http://tenkiyohou.net/staff/staff_detail.php?no=021)であることころの、私の夫くんからの推薦。

シャッターアイランド

【あらすじ】アメリカの連邦保安官テディ・ダニエルズとチャック・オマールは絶海の孤島にある精神病院を訪れた。女性の患者が逃亡しており、テディとチャックは彼女の行方を捜査することに。謎めいたメッセージ、不可解な取り調べ、第二次世界大戦から続くマインドコントロール研究。謎が多すぎる病院の中で、テディは真実を追いかけるのだが……。

夫ちゃんから「たぶんあなたこれ好きよ、面白いらしいから」と勧められた1作。謎を解けば解くほど、追い詰められていくサイコスリラーに似た様式でお話が進むので、「おもしろい!でもこわい!」が病みつきになります。

でもこの映画の一番いいところは、実は謎解きとかどんでん返しの部分ではなくて、日本で「語らないでくれ」と言われたラストシーン。
ここが一番いいんです。

「どっちがひどいかと。
怪物として生きることと、善良な人間として死ぬのと」

このセリフが一番いいんですよ。この良さを語るためには映画見てもらわないと説明できません。「語るな」と言われなくても「語れない」んです。

すべての謎解きの果てにたどり着く真実・真相を知ってからじゃないと、このセリフの良さとディカプリオの演技の良さを語れないようになっているのです。マーケティングがうめえなと思いました。
一番語りたいところを、語るには2時間分の文脈の説明が必要だから「語らないでくれ」といったキャッチコピーがすごいぴったり。

マーティン・スコセッシ監督の映画は「サイレンス」もおすすめしておきます。サイレンスも何度みても、色んな文脈を見つけられる素敵な作品です。


2.今日のリハビリ

足の筋肉トレーニング。骨盤歩き。バランスボール使って上半身のストレッチ。
平行棒を使って、腕の力で歩く練習はかなり上手になってきた。
そして、足を下げて痛み始める角度がだんだんと改善してきた。

接触は痛みの記憶を引き出すバグを持っていることを知る。
傷周辺のマッサージをしてもらっていると、「違和感」を感じる箇所が複数あった。違和感というよりも「恐怖」に近いかも。

それを説明したら、療法士さんが触る箇所を視認させながらマッサージをしてくれた。そうしてもらうと不思議と痛みの記憶が薄らいでいく。さっきまで怖かったものが、だんだんと痛みを忘れていく経験をした。

痛みの記憶は、動物にとって最も重要な情報だ。
ゆえに、本能・身体反応に近い部分に記憶が作用するのかもしれない。

「安全である。もう痛くない」と、確認して記憶を上書きしないと、恐怖・違和感という形で痛みの記憶は残り続ける。
体と心はつながっているのかも。


逆説的に言えば、「大丈夫だ」と自分が確認しないかぎり、人は痛みの記憶におびえ続けるのかもしれない。

なんていえば伝わるのかわからないんだけど。
それは怪我とか、病気とか、身体感覚だけではなくて。
日常の些細なこと、精神、心のもちよう的な領域においても同じな気がする。

明日で手術から1週間。
明日からは膝を曲げる練習が始まる。

3.今日のごはん

ごはんが足りませんと看護師さんに泣きついた。
「接種カロリーあげてもらってるんだけどなぁ」と返答が返ってきた。

私は言った。

「カロリーとかじゃないんです。ギブミー米」

といったら、ご飯の量が盛りっと増えました。いえーい!
幸せ!!

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