人生泣き笑い 〜あの「CSRはつらいよ」は、こうして企てられた〜
RIDEは、重くてカタイ社会課題をクリエイティブの力で変換し、より多くの人たちに届ける「Act for Planet」というプロジェクトを推進しています。チームメンバーは世界をどんな目線で見て、どんなことを想い、どんなアウトプットをしているのか?プロジェクト担当者が胸のうちを綴ります。
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人生泣き笑い。
あ、突然でしたね。
皆さま 元気ですか。わたしは元気です。
さて、しょっぱな、いま頭に浮かんだことばをそのまま打ち込んでしまったわけですが、Act for Planet の取り組みはいつもこんな感じで、ひとつのことばから始まります。
今回は、そんな Act for Planet のちょっぴり独特な企画方法について、書いてみようかなと思います。
1. 視点のおみくじを引く
世の中で、基本の型とされている企画方法はいくつかありますが、Act for Planetの企画方法は、ちょっと独特かもしれません。
ほらあれです、神社にある棒のおみくじ。
頭のなかにこの世のできごと有象無象を放り込んで、ガチャガチャ振って、1本出てきた棒に書かれていることばを読む、みたいな感じ。
なんだよそれって思いました?
…ちょっとだけ真面目に説明します。
社会課題というのは、この世界のさまざまな要素が複雑に絡み合ってできています。
例えば、海洋プラスチック汚染の問題。
海洋プラスチック汚染がなぜ起きるのか。それは、私たちがプラスチックを使い捨てし続けることが問題でしょうか?では、使い捨て続ける価値観はどのようにして生まれたのでしょうか?選択肢を与えた政治は?経済は?資源の問題は?生態系の状態は?
このように、ひとつの社会課題を根本的に解決するためには、課題そのものでなく、課題のまわりにある要素すべてに幅広く目を配る必要があります。
そこで、社会課題の解決を目的とするAct for Planetの企画は、
①この世界全体で起きていること、自分の身のまわりで起きていること、意味もなく近ごろ無性に気になることなど、大小ジャンル限らず、幅広くインプット。
②すべてを俯瞰して、バラバラだった情報の中に共通項を見つける。
③共通項を見て、思いつくことば(キーワード)を浮かべてみる。
④そのキーワードを深く掘り下げて、コンセプトを作る。
⑤そのコンセプトに基づいて、具体的な内容を組み立てていく。
という方法をとっています。
そうやって作った企画は、自然と包括的な視点を持っているので、根本的な解決に繋がりやすいと感じています。
さらに、ひとつのことばから掘り下げてコンセプトを作っていくので、オリジナリティと深みが出やすいです。
これは依頼されたときも同様で、与えられたテーマや材料から同じ手順を(逆走しながらでも)必ず踏んで、企画を出します。
携帯のメモをさかのぼってみたら、少し前にこんな走り書きを残していました。
ぼやき…?
この走り書きをした当時、このことばから掘り下げていったことを思い起こしてみます。
2. 綺麗ごとではすまない現場のリアル
SDGsが日本でも広く知られるようになり、多くの企業でサステナビリティ推進を担う担当者が立てられはじめました。
CSR、CSV、SDGs、サステナビリティ担当と、役職名はいろいろで、わたしもそのひとり。
正義感に溢れ、なんだかキラキラしていそうな担当者たちの実情…それは…
つらい、の一言です。
なぜかって、
・社内外で新規性ある取り組みを行わなければならないが、予算ほぼゼロ。
・直接的な利益を生み出す部門ではないので、成果が評価されづらい。
・分かりやすい利益を生み出さないことも相まって内外から「ただの偽善」だと言われがち。
・取り扱う課題が壮大すぎて、周囲の理解を得づらい。
・あらゆる方向から見て社会的に「正しい」選択をし続けなければならない。
・新たなルールを社内に課すこともあるため、批判を受けがち。
・基本的にひとり体制なので、悩みを理解されづらく相談できる人が近くにいない。
・前例のない取り組みが多いため、有益なアドバイスをもらえない。
おっと、延々と書き出せそうなので、これくらいにしておこうか…。
当たり前のことですが、企業はこの地球の上でビジネスをしているんだから、地球が壊れたらビジネスを続けることができません。
ならば、サステナビリティの推進はビジネスの大前提であり、企業活動の土台にあるはずです。
CSRだのCSVだのと部門を立てて、担当者ひとりが奮闘するというレベルでなく、企業全体として取り組むものでしょう。
それでも現状、これらの取り組みはマーケティングの一種と捉えられがちで、担当者ひとりが奔走しています。
「どうやったら分かってもらえるんですかね…」
「私たちのレベルでこの取り組みをしたら、ただのアピールだと言われませんか?」
「予算はさけないと言われているので、個人的に協力しますね」
近しくなった担当者たちから聞くのは、そんなことばかり。
彼らはいつもなんだか不安そうで、苦しそうで、今にも泣き出しそう。
そんな姿を見て、この現状を今すぐに変えなければいけないと思いました。
サステナビリティという名の下にいる、そこのあなたたちに問いたい。
担当者ひとりを救えもしないで、いったい誰が地球を救えるんですか。
こんな状況下で推進するいったい何が、“持続可能”なんですか。
SDGsの17項目って、なんだか知っていますか。
そんな想いから、企画はむくむくと膨らんでいきました。
3.CSRはつらいよ、つらいんだよ!
そんなこんなで生まれたのが、トークイベント「CSRはつらいよ」です。
はい、もう真正面から「つらいよ!!!」と言うことにしました。
肩にジャケットひっかけて哀愁を込めつつ、宇宙に向かって大声で。
清廉なイメージのサステナビリティ領域で、「つらいよ」なんて言うのはルール違反かもしれません。でもそんなの知ったこっちゃない。だってつらいもんはつらい。
苦しさや悲しさは声に出さないと誰も分からないし、助けることもできない。勇気を持って弱さを見せること、そこからはじめて助け合えると思ったんです。
「つらいよ」ということばから掘り下げて、たどり着いた企画コンセプトは、弱さの開示、痛みの分かち合いでした。
イベントの内容は、サステナビリティ推進を担っている企業担当者をスピーカーとファシリテーターに迎え、参加者も一体となり、ディスカッションを行うというもの。
お酒を飲みながら、悩みをぶっちゃけあえるBARタイムも用意しました。
カッコつけずに胸の内を明かせるように、こんなことにもこだわりました。
・クリエイティブをPOPに でもちょっと胡椒をふりかけとく
「つらいよ」と言ったら、日本人口の9割が思い浮かべるであろう某寅さんと、サステナビリティ担当者の孤独を掛け合わせて、POPにバナーをデザイン。このままだと地球をふらっと去っちゃうよ、ということで、背景は宇宙です。
もう死語にすらなっていて、一部界隈にしか通じない「CSR」をタイトルに入れたのは、ブラックジョーク(胡椒)。
・パワーポイント禁止 想定内のトークはいらない
サステナビリティ界隈のトークイベントって、SDGsバッジを胸につけたエラそうな人の難しい話を聞きながら、パワーポイントの山盛りの文字を追って、なんか分かった気になって終わります。話す側からも聞く側からも、想定外のトークが出てきづらくなります。
双方の思考停止を避けるために、一切の資料を禁止しました。
・照明は薄暗く うっかり本音を話しちゃいそうな雰囲気づくり
蛍光灯にこうこうと照らされた会議室で、長机に並んで座っていると、正しいことを発言しなければいけない気がして逃げたくなりませんか?わたしは逃げます。
そこで、もっとラフに発言できるよう、薄暗い照明でお酒を呑んで音楽をガンガンかけながらやることに。もう徹底的に「ルール違反」にしてやろうと思い、会場はずっと気になっていたネオン輝くスナックBAR、その名も「ノールール」を借りました。
4.泣くも笑うも、みんなで一緒に
当日まで、さすがにエッジ利かせすぎたか…?こんなナナメなイベントに誰が来てくれるのだろうか…?と、まあまあ不安でした。
ところが、結果、企業担当者や経営者、学生、フリーランスと、予想を超える数の方々が集まってくれました。
自分の弱さを見せることって、実はなにより勇気がいること。勇気を持って、登壇・参加してくれた皆さまには感謝しかありません。
特に勇者!な、登壇者の皆さま。
ファシリテーターの呼びかけも聞こえなくなるくらい、参加者同士の会話が盛り上がって嬉しかった。
BARタイムでも積極的にみんなが声を掛け合っていて、後日、ここから新たな取り組みがはじまったという嬉しい報告ももらいました。
それを聞いて、「ああ〜そうそう、それなんだよ!」と。
私たちが乗り越えなければいけないものは、ほんとうに途方もないし、答えがない。
だからこそ、カッコつけてないで、一緒にいっぱい泣いて、困って、また笑えばいい。みんなで、解決していきたいんです。
それが、サステナビリティってもんなんじゃない?
そう私たちは思っているので、これからもこういう場を作り続けていきたいと思います。
一緒に泣いて困って笑いたいという方は、ぜひ声をかけてください。
あれ、不真面目にいくって言ってたのに、これってけっこう真面目に書いてませんかね。まあいいか。
次こそ、不真面目に書きますね。
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