見出し画像

オランダvsチェコ~攻略の糸口を自ら手放したオレンジ軍団~[ユーロ2020]

ユーロ2020の試合分析第4弾はオランダ対チェコの一戦です。

グループステージを3連勝で勝ち上がった絶好調のオランダ。決勝トーナメント1回戦のチェコ戦も問題なく突破するだろうと誰もが思っていました。しかし結果まさかのは0-2。デリフト退場の影響ももちろん大きかったですが、それ以前にオランダの攻撃はチェコに抑え込まれていました。

では、オランダはチェコの守備に対して手も足も出なかったのか?と言われると自分はそうは思いません。オランダは攻略の糸口を掴みかけていたと思います。

この記事ではオランダが自ら手放してしまったチェコの守備を攻略する糸口について解説していきます。ぜひ最後までご覧ください!

試合概要

メンバー

得点
チェコ
 68'(0ー1)ホレシュ
 80'(0ー2)シック

レッドカード
オランダ
 55'🟥デ・リフト

1.チェコのマンツーマン守備

チェコはオランダの低い位置でのビルドアップ時にはマンツーマンで守備をしました。オランダの3バックに対してはCFのシック(10)と両SHのマソプスト(12)とシェフチーク(13)で抑え、中盤では3対3の数的同数を作り出しました。下がってボールを受けにくるCFにもCBがそのままついていきました。この守備によってオランダは低い位置からのビルドアップが機能しませんでした。

2.掴めなかった攻略の糸口

ではオランダはこの守備に対して手も足も出なかったのでしょうか?実はWBの立ち位置によって攻略の糸口を掴むことはできていました。

ビルドアップ時にオランダの両WBは左右非対称の形をとなりました。右WBのダンフリース(22)は高い位置をとり、ここにはチェコの左SBのカデジャーベク(2)がマークにつきます。対して左WBのファンアーンホルト(12)は低めの位置をとります。本来ならここにマークにつくのは右SBのツォウファル(5)ですが、低い位置を取るファンアーンホルトに対して前に出てくることはできません。出てくると後方にスペースができてしまうためです。チェコの守備陣とオランダの攻撃陣ではスピード面でオランダに部があります。そのため、大きなスペースでスピード勝負に持ち込まれると対応できなくなります。実際に12分00秒の場面でツォウファルが出ていった裏のスペースを使われてピンチを招いています。(下の画像)

12:00

このようなピンチに繋がるためツォウファルは前に出てきにくくなります。そうするとファンアーンホルトのところでマンツーマンの守備にズレが生じて、他の選手よりも比較的フリーの状態となります。ですが、オランダはこのマークのズレを活かすことができませんでした。

GKがボールを持った時、チェコの選手はピッタリとマークにつきますが、前に解説したような理由で左WBのファンアーンホルト(12)は唯一浮いている存在となります。ここにロングボールをつけられれば、よりスペースのある状況で攻撃に繋げることができます。しかし、この試合のGKのロングボールの選択肢はほとんどがマークにつかれている右WBのダンフリースへのパスであり、ここで起点を作ることもできませんでした。

18:10

また、右SBのツォウファル(5)が出て来れないため右SHのマソプスト(12)が自分のマークである左CBのブリント(17)を捨てて左WBのファンアーンホルト(12)につく場面もありました。その時はブリントにはプレッシャーがかからず、自由にボールを持てますが、ブリントは簡単に前線にロングボールを蹴ってしまうことが多く、ドリブルでボールを持ち運ぶ場面はほとんど見られませんでした。ボールを持ち運ぶことで相手のマークにズレを生み出すことができますが、そのような攻撃は見られませんでした。また、下の画像の円のエリアでチェコに対して2対1の数的優位ができますが、この優位性を活かしたビルドアップも見られませんでした。

もちろんチェコの守備組織は素晴らしかったですが、オランダが本当に悔やむべきなのはデリフトの退場ではなく、このような掴みかけていた攻略の糸口をものにできず、自ら手放してしまったことでしょう。

この試合のハイライトはこちらから↓

シック来季からチェルシーで見てみたい

最後までご覧いただきありがとうございました。このようなサッカーの記事を書いていますので気に入っていただければnoteとtwitterの方のフォローもぜひよろしくお願いします!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?