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名古屋グランパスvsFC東京〜君はディエゴじゃない〜[Jリーグ第33節]

レオナルドの威圧感が完全にルカク、ということで名古屋グランパス戦です。

中断明けの33節。残り2試合。天皇杯でヴァンフォーレ甲府が優勝したため、ACL出場には2連勝+広島、C大阪の結果次第となったFC東京。他力本願。

名古屋グランパスの前節は京都サンガF.C.戦。ボールを持たれながらも、ランゲラックのPKストップもあり1-1のドロー。これで直近5試合4分1敗と勝ちなし。その間2得点のみ。

一方のFC東京。前節は台風の影響で延期になっていたセレッソ大阪戦。前半は完全に試合を支配。そして後半に渡邊のハットトリックなどで4-0。快勝。ACLに望みをつないだ。

前回対戦は4月20日。第2節のはずが、FC東京のコロナウイルスの影響で9試合目。健太さんが初めて味スタに帰還。
試合は両チーム得点を奪えずスコアレスドロー。FC東京は3試合連続0-0となり、最初の壁にぶち当たっているとき。

詳しい試合内容はこちらから ↓

試合概要

メンバー

・名古屋グランパス
前節からの変更は2枚。FC東京からのレンタルのため出場できない内田に代わり酒井。酒井は14節以来5か月ぶりのスタメン。レオシルバに代わり永木。永井さんは元気にスタメン。

・FC東京
中村、アダイウトンに代えて長友、レアンドロがスタメン。また、ディエゴが怪我の治療で帰国したため、フェリッピが移籍後2試合のスタメン。

(1)時間を奪う対象は

前半立ち上がりからFC東京がボールを握る展開。

自分のレビューを毎試合読んでくれている方はくどいわ!って感じるだろうが、FC東京の保持が機能するかはビルドアップ隊が時間を与えてもらえるかに大きく左右される。時間を奪い取るハイプレスをかけられると、前進できずに低い位置でロストを繰り返すことが多い。

ということで名古屋の守備。名古屋はマテウス、永井、酒井の前線3枚でCB+アンカーに対応。基本はCFの永井がアンカーの東をマークして、シャドーのマテウスと酒井がCBまで向かってくる。この時のシャドーの向かい方は、CBの前に立ってドリブルで運ばれるのを防ぎつつ、背中でパスコースを消す形。つまり、CBの時間を奪い取るようなものではなかった。

じゃあFC東京のビルドアップが機能したか?というとそうではない。名古屋はCBには時間を与えたが、その先に対しては徹底的に時間を奪ってきた。

名古屋はシャドーをCBの前に立たせることで運ぶドリブルでの前進を制限。これでCBからの前進手段がパスしかなくなる。このパスが出た先でSBにはWB、IHにはCH、サポートに降りていくWGの渡邊とレアンドロにも左右のCBがしっかりマークにつく。

このようにCBには時間を与えることを許容して、その先からは徹底的に時間を奪い取るのが、名古屋の高い位置からのプレスの設定。

先制点に繋がったフリーキックを獲得したのもこの守備から。8分20秒。ボールを持つ木本の前に永井が立ち、運ぶドリブルを制限。これで木本からの前進はパスに限られる。パスが出た先の長友に対してWBの相馬が素早くプレスをかけて時間を与えない。そのままボールを奪ってからファールを貰い、フリーキックを獲得した。

8分20秒の場面

このフリーキックから酒井のヘディングで名古屋が先制。これ以降、FC東京がボールを握る時間がより長くなっていく。

保持はするものの、名古屋の高い位置からのプレスをなかなか外せないFC東京。CBより先の選手が時間を与えてもらえず前を向かせてもらえない。そのため、CBからSBやIHへ、しかし前を向けず後ろに戻すといったように手詰まり感が強いボール保持。

状況を打開するために、20分辺りから松木が左サイドに開いて顔を出すようになる。松木がサイドまで移動することで永木を中央から動かして、空いたスペースでレアンドロが受けよう!という狙いの形。

しかし、レアンドロも上手く稲垣や藤井に潰されてしまった。本来のレアンドロであれば、相手を背負ったまま時間を生み出して、レイオフで前向きの選手を作ってくれる。ただ、この日はコンディションが悪かったのか、ボールが足についていない感じだった。

FC東京の中で、前線で時間を生み出して前向きを作ってくれる選手といえばディエゴオリヴェイラ。ディエゴなら相手を背負って時間を作れるし、最低でもファールを貰ってボールを前に進めることができる。しかし、ディエゴは怪我で離脱しており、この日のCFはフェリッピだった。

フェリッピも下がってきて起点を作ろうとしていた。しかし、ディエゴほど相手を背負ってのプレーは得意ではない。そのため、フェリッピに縦パスが入った時には、少ないタッチで落とせるようにより早くサポートに入る必要がある。前半はこのサポートに上手く入ることができていない場面が多かった。

18分30秒の場面

FC東京が前進できたパターンの多くはGKを上手く使えた時。名古屋の前線3枚に対して2CBとアンカー+GKで数的優位を取りながら上手くボールを動かす。名古屋は高い位置からプレスに行く時にはマンツーマン気味の守備なため、ここで数的不利になっても4枚目を出してくることはない。そのため、東の前向きやCBが運べる状況となれば、自陣に引くことを選択する。この形を作れればFC東京は前進することができた。

24分20秒の場面

この場面は上手く東の前向きを作ったが、やはりフェリッピへのサポートがもっと早くほしかったところ。

(2)失った左翼

名古屋は自陣でセットして守る展開ではシャドーの酒井を下げて5-3-2の形となる。この時の3CHはかなり低めの位置でコンパクトに守っていた感じ。これにより3CHと前に残る永井・マテウスの間が空いていることが多かった。

CH-CF間が空いているとFC東京はより高い位置でサイドを変えることができる。そのため、CHのスライドが間に合わず、サイドではWBが1対1になることが多い。

相手を押し込んだ展開になると、FC東京は両SBがサイドに張る。SBが高い位置を取って、ピッチを幅広く使いながらCHの届かないところで1対1を仕掛けていきたいFC東京。こうなると仕掛けられる佳史扶の良さが出て来るはずだった。

しかし、佳史扶の立ち位置が高すぎるため、左のハーフスペースからサイドまでが繋がっていない。左の大外を失っている状態。そうなるとピッチを幅広く使いたいのに、4/5しか使えていないことになる。

23分50秒の場面

前半だけで左ハーフスペースにいる森重や松木から佳史扶へのパスが3本もカットされた。失敗した3本とも佳史扶の位置が高い。これを通すにはシュート並みの強さで蹴らなければいけない感じ。そんな高速パスをトラップできないでしょ。

前節は佳史扶が高い位置を取って、何回もディフェンスラインの背後へ抜け出していた。しかし今節の名古屋は5バックで簡単に背後を取ることはできない。そのため、もっと低い位置を取って、地上でのパスが開通するべきだったと思う。

(3)ゴリ押して支配

後半。両チームとも選手交代はなし。後半立ち上がりに木本が古巣相手にゴラッソを突き刺し、試合は振り出しに。CBのシュートじゃねえぞ。

FC東京が変えてきたところの1つは長友の立ち位置。前半よりも内側を取ることが多くなる。ここから良い形に繋がったのが49分40秒の場面。詳しく。

前半のように名古屋は木本の前に酒井を立たせて運ぶドリブルを制限してくる。ここから前半は長友のところでプレスが嵌っていた。しかし、この場面では長友は少し内側に立っている。これで長友の選択肢は中央の塚川とサイドの渡邊の2つに増えている。

49分40秒の場面①

長友からサイドの渡邊へ。丸山が背後からしっかりついてきていたため、完全に嵌めパスだったが、渡邊が反転でひっくり返す。渡邊から下がってきたフェリッピへ。この時、内側を取った長友が素早くサポートに入り、ワンタッチでレイオフ。長友が内側に取るようになったことでフェリッピへのサポートに入る選手が増えた。

49分40秒の場面②

落としを受けた長友が永木を引き付けて中央の松木へ。フリーの松木が運んでゴール前に走り込んだフェリッピへパスを通したが惜しくも繋がらなかった。この場面はかなり綺麗にビルドアップできた。

速い時間に追いついたことで勢いづいたFC東京が名古屋を押し込む展開。前半は押し込んでからも手詰まり感があったが、後半は明らかに中央に突っ込んでいくようになる。多少強引にでも。とにかく突っ込む。ごり押し。

FC東京が中央からゴリ押してきたことで、名古屋はバイタルエリア辺りの狭いエリアで多くの選手が密集するようになる。こうなった結果、名古屋はボールを奪っても良い形で前に送ることができない。雑に蹴り出すか、低い位置まで下げられた永井かマテウスに渡すことしかできない感じ。

低い位置の永井マテウスは東が捕まえているため、回収することができる。そのため、得点以降はFC東京のずっと俺のターン状態となる。

ペースを握ったFC東京は最初の選手交代。レアンドロに代えて紺野を投入する。名古屋を押し込み、中央からゴリ押すことでCHを密集させる。これでサイドはより1対1の場面が増える。左サイドは佳史扶がサイドで仕掛けることができる。あとは右サイドで仕掛ける選手が欲しい。なのでアダイウトンより紺野を優先って感じの交代。

紺野を投入して以降のFC東京は中央突破を狙いつつ、名古屋が中央に集まったら紺野の1対1を使う形。しかし、紺野vs相馬の対決で優位を取ることができなかった。スピードが足りない感じ。1歩目では紺野が先を言っても、相馬に追いつかれてしまう。紺野が倒れる場面が何回もあったが、もうちょっと踏ん張ってほしい気もする。

そして69分に名古屋が勝ち越し。永井にやられた。リスタートのところで松木がボールを渡してしまったのが悔やまれるが、これも経験ってことで。松木はもう絶対に渡さないだろうね。

勝ち越しを許した後は、切り札アダイウトンを投入して名古屋を押し込む展開。しかし、前半のような手詰まり感。そもそもこの試合はどう考えてもアダイウトンの試合じゃないし。特に見せ場も作れず試合終了です。

おわりに

負け。健太さんに勝てず。ACLもお預け。

前半の出来はまあ悪かった。名古屋のプレスも良かったが、単純なミスも多く、コンディションに問題が合った感じもした。ただ、後半の立ち上がりは持ち直して良い時間を過ごした。相手を押し込みながらボールを回収して攻め続ける。ずっと俺のターン状態はFC東京の目指す姿の1つだと思う。ボールを持ちながら守備をするっていうね。

あとは引いた相手を崩せるか?これはサッカーにおいて一番難しいと言っても過言ではないと思ってるので時間はかかるでしょう。

初のシーズン全試合レビューでぼくの体力が完全に切れていて投稿が遅くなりました。なのでまとめは最終節で長めに。今週中目標でやります。

あと1つ。最後までぜひお付き合いください。

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