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浴室闘争

浴室闘争

 甘く匂う闇のなかで、ヒカリゴケのように薄明るいマットレスに寝そべって誰かが来るのを待っていた。どこかしらに精液が染みているに違いない、いつ交換したのかもわからないマットレスに寝そべっていても僕は平気だった、というか、そんな不潔な闇の底に寝そべるだけのかすかなスリルのために入場料を払ってもいい。ヤれない日があっても別によかった。あの闇の不安に身体を浸すだけでいい。ぼくはそこに満ちる悪しきものを吸い

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