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自分がほんとうに何者かを示すもの

先日、『ハリー・ポッター』への熱が再燃したことを書いた。

このときは読みかけだった『秘密の部屋』を、今朝読み終えたところだ。

それにしても、すごい。『ハリー・ポッター』の世界観には本当に吸い込まれる。
ローリング女史への敬意が文字どおりローリングしてとどまることを知らない(正しくは「Rowling」なので文字どおりではないが)。


そして、改めて読むと、子どもの頃には響かなかったことが心を打つこともある。


※ここから多少ネタバレが入りますが、20年以上前の超有名作品なので、あまり気にせず書いています。ネタバレを望まない方は、お戻りください。









秘密の部屋での激闘後、ハリーがダンブルドア校長と二人きりで会話をするシーン。

その中で、ハリーが入学当初から気にかけていた寮の組分け(ホグワーツの生徒は、グリフィンドール、ハッフルパフ、レイブンクロー、スリザリンの四寮のいずれかに所属する)の話になる。

ハリーは、自分がスリザリンに入る素質を持っていることにずっと悩んでいたのだ。


秘密の部屋でトム・リドル(ヴォルデモート)と対峙した際、ハリーは彼に「自分たちは似ている」と言われた。

魔法使いとマグルの混血であること、マグルに育てられた孤児であること、そして蛇語が話せることなど、ハリーとヴォルデモートには何かと共通するものが多い。

ダンブルドアは、ハリーが蛇語を話せる理由を「ヴォルデモートが(不本意に)自分の力の一部をハリーに移してしまった」と考察した。

しかし、ハリーは愕然とし、自分はやはりスリザリンに入るべきだったのだとショックを受ける。

ダンブルドアはこう続けた。
「それでも『組分け帽子』は君をグリフィンドールに入れた。君はその理由を知っておる。考えてごらん」

ハリーは答えた。
「僕がスリザリンに入れないでって頼んだからに過ぎないんだ……」

これにダンブルドアは、
「その通り」
とニッコリする。

この後!

この後のダンブルドアの台詞が、雷のように僕の中で響いたのだ。
太字でご覧いただきたい。


「それだからこそ、君がトム・リドルと違う者だという証拠になるんじゃ。ハリー、自分がほんとうに何者かを示すのは、持っている能力ではなく、自分がどのような選択をするかということなんじゃよ」


持っている能力ではなく、自分がどのような選択をするか。

先天的に与えられたものは人それぞれで、自分の意思で手にしたわけではない。
それゆえに、他者を羨むこと(いわゆる、ないものねだり)もあるだろう。

しかし、大切なのはそこではなく、能力が与えられた上で自分が何をするか、ということ。


ハリーは、スリザリンに入る素質を備えていながら、自分の意思で拒んだ。そしてグリフィンドールに入った。

その結果、真のグリフィンドール生だけが手にすることのできる銀の剣でバジリスクを倒すことができた。

スリザリンの素質がありながら真のグリフィンドール生と認められたのは、ハリー自身が決めた道であり、それがハリーたらしめるものだということだ。

このことはハリーを強く励まし、勇気づけたことだろう。


こんな素晴らしいことをおっしゃっていたのですね、ダンブルドア先生様。さすがは世界一偉大な魔法使い。とっても感動しましたわ。お礼に、この百味ビーンズの耳くそ味をどうぞ。



改めて、『ハリー・ポッター』シリーズは素晴らしい。
今すぐにでも続きを読みたいし、USJやとしまえん跡に行きたい。
子どもから大人まで夢中になれるこの作品を3巻までしか持っていないことを、ローリング女史にローリング土下座したいくらい悔やんでいる。


と同時に、子どもの頃に読んだ本を大人になって読んでみると、当時とはまた違う気づきがあるのだと思った。
景色が鮮やかになり、視野が広がり、物の考え方が深まるような感覚。やっぱり読書っていいなぁ。

毎日少しずつ味わいたいので、『アズカバンの囚人』は明日からちょびちょび読んでいこう。
そして、読了するまでにどうにかして『炎のゴブレット』上下巻を手に入れなければ。


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