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最強の日本語

もしもあなたが食事中だったなら、悪いことは言わない。読むのは後にしてほしい。
今じゃない。

注意事項


僕は気づいてしまった。

日本人なら誰もが知っている言葉。老若男女問わず、都道府県問わず、きのこの山派・たけのこの里派問わず、みーんな知っている言葉。言葉の面白さに魅了されたこの僕が、たどり着いた一つの真実。


それは、そう、「うんこ」。あの「うんこ」である。


考えてもみてほしい。「うんこ」と聞けば、全員もれなく尻の穴から繰り出される茶色いアレを思い浮かべるだろう。「うんこ」を知らない人はまずいない。それに「うんこ」と聞いて、楽しかった旅行の思い出に浸る人や、好きな人の顔を思い浮かべる人はいないはずだ。旅行先で「うんこ」をもらしたり、好きな人がデート中に「うんこ」をもらしたりしていないという前提だが。

すごいのは、たとえそれが言葉を覚えたての幼児でも「うんこ」を知っていることである。実にすごいことだ。ほとんどの人が「いいかい、これは『うんこ』と呼ばれるものだよ」と教育を施されたわけではないだろうに、いつの間にか我々日本人は「うんこ」を習得している。初めて発する言葉は「ママ」や「パパ」かもしれないが、概念を自然に理解するのはおそらく「うんこ」が最初だろう。


そして「うんこ」という字面よ。「う○こ」と書いてあったら、絶対「うんこ」を連想するはずだ。
たとえば、こんな穴埋めクイズがあったとする。

  • 明治時代の教育家で、日本初の女子留学生として有名な女子専門教育の先駆者と言えば、「津田う○こ」である。

  • 何かがきっかけになって、急に物事の実態などがよく見え、理解できるようになることをたとえて、「目からう○こが落ちる」と言う。

答えは「津田うめこ(梅子)」と「目からうろこ(鱗)が落ちる」だってわかるけれども、「う○こ」と書いてあったら「うんこ」に見えちゃう不思議。2024年7月3日から五千円札に描かれるのは、「うんこ」ではない。突然なにか物事を理解したとき、目から「うんこ」は落ちない。なのに「う○こ」と書いてあったらそれはもう「うんこ」なのだ。我々の脳は「うんこ」にまみれている。これが「ウンコカタカナ」でも同じなのがまたすごい。不動のエースどころではない。もはや絶対神の領域である。


数年前に登場した「うんこ漢字ドリル」が良い例だ。なにかのインタビューで、「『うんこ』は誰でも知っていて笑いにつながる言葉だから、勉強が楽しくなる」と発案者の方が言っていた気がする。まさにそれだ。

かのアーティスト・森山直太朗も「うんこ」という楽曲を制作している。1分半に満たない短めの曲ではあるが、アコースティックギターの優しい音色の上に、奥の深い歌詞が直太朗の繊細な歌声を通して重なり、素晴らしいハーモニーを奏でている。

さっきまで体の中にいたのに
出てきた途端
いきなり嫌われるなんて
やっぱりお前はうんこだな

森山直太朗「うんこ」

そうなんだよ、「さっきまで体の中にいた」んだよ、「うんこ」は。「うんこ」は出てきて初めて「うんこ」になるのであって、それまでは体の中にいる。元々「うんこ」は我々のことであり、我々は皆「うんこ」なのだ。
「うんこ」はこんなに身近な存在なんだから、卒業式では「うんこ」にも感謝を込めて「うんこ(独唱)」を歌って然るべきじゃないのか。「うんこ」舞い散る道の上で、友とさらばすれば良いじゃないか。


もうおわかりのように、「うんこ」は日本人にとって最も馴染み深い言葉である。それなのに、「うんこ」の扱いときたら。「お前はうんこだな」と罵り、蔑み、侮るなんて。なんなんだ。もっと「うんこ」を敬うべきだ。毎日顔を合わせる「うんこ」。人の生活に欠かせない「うんこ」。がんばれ「うんこ」…お前がナンバー1ワンだ!!


こんなこと書いてたら、フォロワー数が減るかもしれない。さっきまでフォロワー数が200人いたのに、書いた途端いきなり嫌われるなんて、やっぱり僕は「うんこ」だな。




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