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アンナミラーズがなくなっても我が家で生き続けるアンナミラーズの椅子の話

アンナミラーズ最後の1店「高輪店」がついに閉店するらしい。

私にとってのアンナミラーズの思い出は、今は亡きアンナミラーズ広尾店だ。私が大学を出て就職もせず上京して駆け出しミュージシャンだった頃。

まだレコード会社の人たちが会社のお金で呑みまくってた時代で、金のない私は、昼間はその頃やってたバンドの練習をよくしていたが、夜は西麻布にたむろする業界人たちにくっついて行っては遅めの晩御飯にありついていたのだ。

西麻布は眠らない街だが、そこから酔い覚ましに10分ほど歩くと広尾のアンナミラーズがあった。記憶違いならごめんなさいなのだけど、結構深夜までやってたと思う。

お名前を覚えてないのだけど、いつも深夜のアンナミラーズ広尾店で歌詞を書いている作詞家の人がいた。広尾店は穴場店というか不採算店というかいつも閑散としてて、作詞家の人にとっては良い仕事場のようだった。もしかしたら、まさに西麻布のオンエアかワーナーのスタジオでナウ進行中のレコーディングの歌詞を書いていたのかも知れない。

私もまれにレコーディングに呼んでもらえることがあったので、深夜、帰りにここに立ち寄っては奇妙な味のデザートを食べたのが思い出される。

そんなアンナミラーズ広尾店だが、結婚してすぐくらいだろうか、閉店することになり、店内で使われていた椅子が1脚500円で放出されたのだ。

可愛らしい椅子だったし、お店に対しては深夜の音楽家を支えてくれていたような感謝の気持ちもあり、当時乗ってたミニクーパーで数脚買いに行って自宅で使うことにした。

アンナミラーズの椅子は4脚あったが、今は最後の1脚になってしまった

80年代っぽいというか、いかにもな花柄プリントの座面がなかなかお気に入りで、その後壊れて処分したのもあるけど、まだ1脚残ってて、キッチンで毎日座ってる。

美しい椅子だ

アンナミラーズがこの世から姿を消しても、我が家のキッチンでアンナミラーズの椅子が生き続けているのだ。

リンク先画像の店先に映ってる椅子そのものです。

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