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季節のお話ー夏の夕立が来たー

毎年夏の日にはよくある光景です。
あんなに昼間晴れていたのに夕方になると俄かに空が立ち曇り、おどろおどろしい光を放つ雷雲がやってくるのです。そう、みんなはこれを夕立と呼んでいます。
夕方に起こるものだと思っていたのですが、夜中になってもピカピカゴロゴロ、怖くて眠れやしません。
昔から言われているのが、雷が光るとおへそを取られてしまうということを誰もが知っています。
雷様が取るのはおへそを取るのは何故でしょうか。コレクションでしょうか。それとも昔の誰かが言った単なる迷信なのでしょうか。
ああ、なんて恐ろしい、なんて怖い話なのでしょう。何せおへそを取られてしまうのですから。
ピカピカゴロゴロ、今日もまた鳴っています。

小さな頃に誰もが知っている怖い話。
雷さまは突然やって来て、僕たちのおへそを取っていってしまうのです。
取られた子は怖くて眠れません。何故なら雷様の家来になってしまうのですから。
雷様がやってくる速さはほんの一瞬の出来事で、そして瞬く間のうちにおへそを取られてしまうのです。
あぁ怖い。なんて怖いんでしょう。

ただでさえ怖いのに今度は風神さまがやって来ます。
風神さまが大きな音を立ててやって来ます。ビュー…ゴー…ビュー…ゴー…

風神さまは袋の中から風を出します。
風神さまは怖いのですが、僕はあの風を作る袋が欲しいのです。雷神さまの太鼓も欲しいのですが、雷が怖いので風神さまの袋の方が良いのです。
その袋を何に使うのかというと、悪戯に使うのです。例えば、前を歩いている人を、袋から風を出して髪の毛をもしゃもしゃにしたり、持っていた物を風で飛ばしてみたりと、ちょっとした悪戯です。
雷様の太鼓が手に入ったら、突然ピカピカゴロゴロ鳴らしてみんなを驚かせてやりたいのです。そんな悪戯を思い浮かべて布団の中でニヤニヤしていました。

怖かったはずの音も、ピカピカ光る光も布団の中には届きません。気がつくといつの間にか朝になっていました。

今日は夕立が来ませんように。

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