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Riviera
2021年7月21日 00:10
8月の終わり。久しぶりに彼と穏やかな午後を過ごしている。外はまだまだ熱気が立ち込めていて、日差しもキツく、出掛けるには厳しい。だから彼の家で各々涼んでいる。彼は本を読み、その隣で私は映画を。アクション映画のやかましい音の中でも、彼は涼しい顔で文字を追い続けていた。「ねぇ裕(ゆう)、よく読めるね。こんなうるさいのに」「集中してたら音消えるし」本から目を離さないまま、彼は言う。