現代フェミニズムのヴィジュアル解説本『Badly Behaved Women』 Anna-Marie Crowhurst著


地元の図書館で発見した本です👀


【本の構成】


10年単位で目次が設定され、年代ごとにいくつかテーマを取り上げています。その時々で焦点となっていたフェミニズムの運動を網羅できるようになっています。

例えば1900-70年代では、
DEEDS NOT WORD,  WE WEAR THE PANTS, A ROOM OF ONE'S OWN, THIS WOMEN'S WORK, BEAUTIFUL BOREDOM, CALL HERSELF FREE といった興味をそそる見出しが並んでいます。
1970s、1980s、1990s、2000s‐ presentと時代が進んでいくにつれミレニアムズ世代の私にも馴染みのあるカルチャー、音楽アーティスト、ドラマ、そして#Me too 運動についてもしっかり取り上げていました。

【本のポイント】

ズバリ、写真がたくさん載っている点。
百聞は一見に如かずとはこのこと。
各チャプターごとに掲載されている写真と合わせてテキストを読むことで、
そこにあるテキストを単なる情報としてでなく、信憑性を持つ「リアルなストーリー」として理解することができます。
以下、印象に残った写真をいくつかレヴューしたいと思います。


【気に入ったチャプターその1】


1970s のQUEER IDEAS

ヘテロセクシュアルが通常であるという、ヘテロノーマティブな社会で生きづらさを持つレズビアン達、または白人が特権を持つ社会で軽視されがちな有色人種の女性たちが声を挙げ始めたことを取り上げたチャプターです。
この頃、過激派と分類されるフェミニストは「政治的レズビアン主義」(political lesbianism) という概念を発展させ、「男性とヘテロセクシュアルな関係を持つことは家父長制を助長し、それによって女性の権利と自由は阻害される」と主張し男性と関係を持つことを止めるよう呼びかけました。

1974年のボストンでのプライドの様子が収められた写真が一面に掲載されています。今とは違って抑圧も多かった当時に堂々とスローガンを掲げ、声を挙げた彼女たちの姿にとても励まされます。
*どんな写真か気になる方は、Amazonのリンクを開いてみてください。表紙の画像の下にある「see all 10 images」 をクリックするとこのページが見れます。

このチャプターに、トランスジェンダー女性である作家Juno Dawson のコメントも発見📝しました。

【気に入ったチャプターその2】


2000s- PRESENT のBIG BUSH ENERGY

BUSH… とは「茂み」のことですが、女性のムダ毛、(特にアンダーヘア)の隠語?として使われている言葉でもあります。
ムダ毛について取り上げたこのチャプター、掲載されている写真のどれもがインパクトの強い作品で、深く印象に残っているページです。

眉毛を繋げっぱなしにしていたフリーダ・カーロに始まり、Ben Hopperという写真家が手掛けたプロジェクト「Natural Beauty」の写真のインパクトは絶大で、感嘆しました。女性とは…という存在に対する問いかけをしてくれます。リンクから是非写真を見てみてください。


女性のムダ毛を通してフェミニズムを訴えるこのプロテスト、私も個人的に参加しています😁
でも公の場で実際に実践するのは、まだまだ勇気が足りないなって思いました。この春ドイツに旅行した際、ファミリーで楽しめる屋内プール施設に行ったのですが、そのとき、足と脇の処理をしないままの水着姿を家族以外の人たちに晒しました。
正直、恥ずかしさのほうが大きかったです…。ほとんどの女性はみんな(当たり前のように)毛の処理をしていたし、私はアジア人ということもあり、かなり目立ったと思います笑。
だからこそ、プロの写真家によるプロジェクトとは言え、自身の体毛をこんなにも堂々と晒したモデルさんたちに拍手を送りたい!という気持ちです。

【気に入ったチャプターその3】


2000s - PRESENT の HA, HA, HA - BONK
THE AGE OF THE FEMINIST COMEDIANS という見出しのページを開いたとき、真っ先に目に入ってきたのは、私が愛するフィービーが脚本・主演を担当したコメディードラマ『FLEABAG』の広告!



そうです、ついに女性もコメディアンとして活躍できる時代がやってきたのです。フィービーの他にも、私が知らない女性コメディアンの方たち について学ぶことができたチャプターです。
Amy Shcumer(エイミー・シューマー)は『アイ・フィール・プリティ! 人生最高のハプニング』の主演がきっかけでアメリカのみならずグローバルな人気を得たようです。


【こんな人におすすめ】


・フェミニズムに興味がある
・写真アートが好き
・フェミニズムって堅苦しいイメージ
・フェミニズムの論文とか読むのはちょっと面倒くさい
・反骨精神のあるアートが好き
・ビヨンセなどポップミュージックの女性アーティストが好き
・娘さんがいる方

本の表紙に紹介文として載っていたのは、「娘のためにも、もう一冊買っておかなきゃね」(意訳)というフレーズでした。 
納得。
本棚に置いておきたい本です。


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