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そろそろ、ふろふき大根

秋風がふきはじめ、すこし過ごしやすくなるこの時期。

コンビニの肉まん、おでんが始まっていて、もうそんな時期かぁとちょっと寂しくなりました。

おでんといえば、やっぱり大根。

出汁が染み込んだアツアツの大根を食べると、いつも思い出す詩があります。

それは長田弘さんの詩集「食卓一期一会」内の詩、ふろふきの食べ方です。

ふろふきの食べ方

自分の手で、自分の
一日をつかむ。
新鮮な一日ををつかむんだ。
スがはいっていない一日だ。
手にもってゆったりと重い
いい大根のような一日がいい。

それから、確かな包丁で
一日をざっくりと厚く切るんだ。
日の皮はくるりと剥いて、
面取りをして、そして一日の
見えない部分に隠し刃をする。
火通りをよくしてやるんだ。

そうして、深い鍋に放りこむ。
底に夢を敷いておいて
冷たい水をかぶるくらい差して、
弱火でコトコト煮込んでゆく。
自分の一日をやわらかに
静かに熱く煮込んでゆくんだ。

こころさむい時代だからなあ。
自分の手で、自分の
一日をふろふきにして
熱く香ばしくして食べたいんだ。
熱い器でゆず味噌で
ふうふういって。
                                       (出典:「食卓一期一会」)


よい一日を過ごすにはどうすれば良いのでしょうか。 

面倒くさがってだらけちゃうのはよくない。でも頑張りすぎて力みすぎるのも疲れちゃう。

つまり、毎日頑張れるちょうど良い加減を知るのが大切なのです。

それはまさにふろふき大根の調理と一緒。
丁寧に、でも焦らずじっくりと。

ちょうど良い加減で作ることで、美味しい料理になるのです。

私も忙しい日が続くと心に余裕が無くなり、つい強く当たってしまう事も。

そんなときにこの詩を読むと、言葉の温かさがじんわりと心にひろがっていきます。

それはまるでホカホカの大根を食べたときのよう。

この詩を読むと優しくなろう、と心に余裕ができるのを感じられるのです。

寒くなるこの季節。
みなさんも温かいご飯と言葉で段をとり、頑張りましょう。

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