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重心移動を応用した走り方の考察


以前、自分が書いた「重心移動の有用性」という投稿から時間が経ち自分の中でも重心移動に対する考え方の変化が起きました。


そこで、今回は新しく実践している重心移動の仕組みを紐解いていくというテーマで文章を書いていこうと思います。

まず、重心移動のおさらいをします。

重心移動というのは、基底面を重心が超えた時にその方向に向かって物体が倒れていく現象を応用した移動方法になります。
人間を例にとると、人間の基底面は両足裏の着いている面と両足のつま先を結んだ線と両足のカカトを結んだ線によってできた面です。そこを、重心が超えることで人間はその方向へ傾いていきます。それに足を伴わせることで倒れながら身体を支えて進むという走り方が成立するということです。

この走り方をすれば筋肉に対する負荷が少なく、より楽により長く走ることが可能になります。


重心移動を応用した走り方の仕組み


さて、本題に入ります。
ここからは、重心移動を応用した走り方の仕組みについて解説していきます。

重心移動を応用した走り方で重要なのは、重心位置足の裏股関節の3つです。

①重心位置


重心移動で最も大切なのは、重心を基底面の外(進行方向側)に出すことです。進行方向側に出すことで身体が自然と傾きます。傾いたことにより斜め下向きのベクトルが発生し、それが分化したベクトルとして鉛直下向きと地面と平行のベクトルが発生します。この地面と平行のベクトルが進行方向に対するベクトルとなります。
それを利用することで外力を発生させることができ低負荷である程度の速さを出すことができます。

ここで重要なのが、自分の重心の位置をきちんと理解することです。

自分の重心の位置をきちんと理解できていないと、ただ前傾を作っただけの走りになり、外力で進むことができず、ぎこちない走りになってしまいます。

①自分の重心位置を理解した理想的な前傾
②重心位置を把握できていない良くない前傾

まずは、さまざまなワークを通じて自分の重心を正確に把握できるようになることが肝となります。

それができるようになると走りの動力源が
”脱力”
ということに気づけるようになります。

②足の裏


次に、重心移動に必要な要素として
足の裏での足圧の操作
が挙げられます。

足圧の操作でまず挙げられるのがカカトでの接地です。
カカトで接地する理由としては、重心より後ろで接地をしやすくなるからです。
重心より後ろで接地できると2つのメリットがあります。
1つ目は、身体を前に運ばなくても斜め下向きのベクトルが発生し、外力を得ることができる点。
これに関しては、前回の重心移動の有用性の記事で図解しているのでそちらを参考にして頂けるとわかりやすいと思います。

2つ目は、地面反力を斜め前向きに受けることができ、そのまま前向きの力に変換することができるという点です。
足を地面に着くと地面反力が発生します。その方向は基本的にはスネの向きになると言われています。
人は走っている状態から止まろうとすると斜め前向きの角度をスネで作り地面から斜め後ろ向きの力をもらいます。
それと反対に走っている最中は、重心線と地面との交点より後ろで足をつくことによって斜め前向きのベクトルを得ることができます。
このような理由により足の接地点は重心より少し後ろ側で接地した方が効率的だと考えられます。

①止まろうとするときの地面反力
②走っている最中の理想的な接地点と地面反力

また、カカト接地から離地にかけての動きとしては、ロッキングチェアをイメージしてもらえばわかりやすいと思います。

ロッキングチェア


足の裏をロッキングチェアの床についている部分だと仮定して、足圧が後ろ側に乗っている状態から、身体重心が接地点より前にある状態で身体を脱力させるとコロッと足圧が前側に振れます。
前側に振れると前向きのベクトルが発生し、力なしで前に進むことができます。
足裏接地時の走りのメカニズムとして、これの繰り返しで成り立っていると言えます。

この時に重要になってくるのが、足首を固めることです。
足首が固まっていないと足圧が前に移動している最中に背屈してしまいます。背屈してしまうとスムーズな足圧の移動ができず転倒などの原因となります。
また、固めるという表現をしているのは離地の瞬間も足首は同じ角度を保たせたまま固めておかなければならないからです。スプリントのイメージすると、よく離地の瞬間に地面を強く蹴るという印象を抱きます。しかし、そのような一般的な走り方とこの重心移動は違います。この重心移動では離地の瞬間もしっかりと足首を固めた状態を保って足圧を前から後ろへ運ぶことが重要です。

このように、しっかりと足首を固めた状態を作って足圧を後ろから前に移動させることで太もも、ふくらはぎが驚くほど疲労しない走りを手に入れることができます。

③股関節

最後は股関節です。
走っている際に股関節を意識すると言われると脚の引き上げを多くの人が連想すると思われますが、今回は接地時の支持脚で股関節を意識することにフォーカスしています。
今回解説している重心移動では、基本的に足関節・膝関節の伸展は意識しません。あくまで脚の役割は重心を運ぶ棒です。棒高跳びの棒や松葉杖のイメージをして頂くとわかりやすいと思います。大腿部と下腿部は基本的には動かさず股関節の操作がメインとなって、脚を前後させて進むことになります。

走っている時に足関節・膝関節の伸展を意識しないとなると上半身との連動をさせるために必要なのが股関節の動きになります。足の裏が地面に着く瞬間に足関節・膝関節をしっかりと固め、重さによって角度が変化して力が逃げるのを防ぎます。そして、その重さを股関節で受け止めます。重心移動により、大腿骨頭が骨盤の寛骨臼で回転しているのを感じながら股関節を屈曲位から伸展位に変位させます。
このようにして支持時の足の接地位置の変化を起こすと考えられます。

次に考えていくのは、どのようにして伸展していた脚が屈曲させて前に持ってくるのかです。
これには二つの筋肉の作用が関連していると推察されます。
この二つの筋肉とは中臀筋小臀筋です。

これは歩行時の作用の例になります。
「歩行時に下肢が交互に体重を支えるが、着地している側の中臀筋と小臀筋が外転作用で骨盤を傾け、骨盤の反対側を挙上させる。挙上側の下肢は屈曲し足を前に出す。下ろした足の中臀筋・小臀筋が収縮して骨盤の対側を持ち上げ、足を前に出す。このように歩行では左右両側の中臀筋と小臀筋が交互に働いて骨盤を左右交互に傾け前進している。」
この歩行時の中臀筋・小臀筋の作用の表記から、何か特別なことをせずとも着地して中臀筋と小臀筋を収縮させることができれば、自動的に対側の骨盤を挙上できて逆の足を前に運べることがわかります。

まとめ

これらの3点を意識すると重心移動を応用した走り方に近づくことができるので、みなさんもぜひ挑戦してみてください。
今回挙げたポイントの他にも重心移動を習得するために必要なポイントはいくつかありますが、大まかには先にあげた3点が重要と言えます。他のポイントも込みで意識するとさらに洗練された重心移動をすることができます。

また、この走り方を習得すると、大腿部と下腿部がほとんど筋肉疲労しなくなるというメリットがあります。
この重心移動を応用した走り方を習得しサッカーやバスケなどで疲労のない状態で試合の終盤も戦えるようになっていきましょう!!

※これは重心移動に自分なりの見解を加えた走り方です。西本直氏が提唱する西本走りを学びたい方は本人のSNSをチェックしてください。



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