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四神京詞華集~shishinkyo・anthologie~

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2023年11月の記事一覧

四神京詞華集/NAMIDA(24)

四神京詞華集/NAMIDA(24)

【いもうとができましたv(^▽^)v】

○菅原石嗣の館・書斎(10年前)

「ぎゃあああああああん!」

棚も揺れんばかりに少女の絶叫が響き渡る。
中空を飛び暴れまわる巨大なオニヤンマ。
床を這い逃げまわる慧子。
と、小さな指が一本、天を差す。
蜻蛉は静かにその指で休む。
唐衣を纏い花鈿を施した少女はしばらく指に止まった虫を愛で、そっと外へと逃がした。
慧子は生きた人形のようなその少女に、一瞬で

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四神京詞華集/NAMIDA(23)

四神京詞華集/NAMIDA(23)

【夜明け】

○紀広澄の館・庭(朝)
呉女は紛うことなき夜叉となった。
髪が逆立ち、目が血走り、口が裂けた。
怯えたような唸り声は殺気を帯びた雄叫びに変わった。
しばし腕の中に抱いていた卑奴呼を横たわらせると、鬼面の夜叉はゆらりと立ち上がる。
紀家の男どもは依然怯んだまま、逃げようとも立ち向かおうともせず、ただ悪戯に衛士の到着を待っている愚かさを見せるのみ。
主は糞ほどの価値もない自意識から。

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四神京詞華集/NAMIDA(22)

四神京詞華集/NAMIDA(22)

【卑奴呼】

はいどーも卑奴呼ちゃんでーす!
今日も実況やってきまーす!
チャンネル登録お願いしまーす!
なんつって!
ダラダラダラダラ続いた第一話もいよいよクライマックスって時にまたまた脱線。
はいはいそんなんいらないからってダメ出しも分かりますけど、別に公募に出す訳でもない、脚本学校の課題でもないこの物語はこの後に及んでも好き勝手に書き殴られていくそうであります。
そんな感じでね。

その時、

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四神京詞華集/NAMIDA(21)

四神京詞華集/NAMIDA(21)

【夜明けの前は……】

広澄は大きく伸びをすると、寝間着の上から一枚羽織り、ゆるゆると沓まで履いて庭に降りていった。
もはや呉女などには振り返りもせず。

家来1「大事ございませぬか?」
広澄「ああ、爪も牙も立ててこぬ。大人しいものだ。ご丁寧に面を被り醜怪な顔まで隠してくれている」
呉女「広澄様?」
家来2「何か申しておりまするが」
広澄「気にするなよ。鬼の唸り声に意味なんてない」

広澄は穏やか

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四神京詞華集/NAMIDA(20)

四神京詞華集/NAMIDA(20)

【夜明けの前は…】

彼女の夜は明けつつあった。
いや、単に白け始めただけといってもいい。
山から降りてくる霧が条を覆っている。
湿った空気が坊に満ちている。
日輪は雲の裏からおぼろげに光っている。
それが彼女に向けた寿ぎの限りであるかのように。

○紀広澄の館・庭・早暁
未だ寝衣のままの紀広澄が簀子に現れる。
穢人の娘と巨大な呉女の伎楽面で顔を覆い獏の置物を抱えた禍人が、家人に矛を向けられたまま

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