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読書・映画の感想文

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たれながすことばとこころ
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記事一覧

映画メモ84「エリザベス」

久しぶりに「エリザベス」。 ケイト・ブランシェットのもの。 エルフにしろ人間にしろ、女王っぽさすごい。 「TAR」でもある意味女王だし(オケの女王)。 1999年! ずいぶんと昔になってしまったのだな。 25年も前だなんて。 フランス語がところどころに出てくるんだけど ちょっと意味分かるようになったのが私の進歩か。 まあ、いろいろあれども王座を手にするのか分からんなーという 激動の時代を生きる一人の女性の物語。 今なら王位継承で戦争起きるとか殺し殺されとかはないので そん

映画メモ83「子宮に沈める」

「つみびと」を読んだ流れから、この映画を知ってNetflixへ。 基本的には勧めない。 女性であれば、自分の中の「女性性」というものを 考えたことがあると思うのだけれど、 それと向き合うことなく、「いやらしいもの」と 蓋をして生きる人の方が多いように思う。 母性の神話というのは社会が都合よく作ったものだと思うし。 ホルモンが「そういうふうにできてる」というのは 出産のたびに何度も実感した。 それは人体の仕組みの話だ、あくまでも。 女性に性欲があると言えるようになったのは

読書メモ37「つみびと」

私は、琴音で、蓮音だ。 私は子ども達を置き去りにした。 読み始めて辛くて進まなかった。 途中で感想を書いた。 読み終わってからまた書いた。 ******************************** 最近読んでいる本「Sinners」を読み終えました。確かにこの本は私の心を痛めましたが、同時に私を救ってくれました。 先週、私はこう書きました。 「この数年間、私は薄い刃の上に立っているように感じていました。1ミリでも動けば真っ二つに切り裂かれるような気がしました。

映画メモ82「あの子を探して」

会社に映画好きのおじさんがいて、 若い頃にデートで映画を3本立て続けに見ようとして 3本目に行く時に「いい加減にして」とフラれたという 逸話を持つなかなかにいい感じの人だ。 そのおじさんに勧められたのが 「あの子を探して」 配信もなく、でも中古のDVDを↑のAmazonで買って鑑賞。 楽しみにしてたけど息子の引越とかで週末延期になって昨日やっと鑑賞。 演技が演技じゃないというか、ドキュメンタリーみたいだった。 みんなが素人だというのもあるんだろうけど、 そういう工夫を

読書メモ36「カラー版名画を見る眼Ⅰ─油彩画誕生からマネまで」

高階秀爾さん、お名前くらいは私でも聞いたことがあった。 絵画を見るのは好きだけど、あんまり詳しくはなくて 見た時に胸に広がる感触が心地いいので 何だろうあまり言葉にするのを好まなかった。 同じようなテンションで絵を見る恋人とは よく美術館に行った。 まあ彼は障害者手帳を持っていて無料なのと そもそも介助がないと一応不安だったのもあってだけど 本当によく美術館には出かけた。 横浜美術館の近くに住んでいたのもあるか。 たくさん行ったから 「彼の好きそうな絵」 が分かる。 彼

映画メモ81「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」

ガンダムです。 ファースト世代なので年に1度は三部作、のように育てたおかげか 下の子は立派なガンオタになり、 「親父が夢中になるわけだ」 みたいなことを言ってくれるようになったわけです。 ZもZZも逆シャアも見てるんだけど、 私の中ではやっぱりそれに割くことができたリソースが大きかった= 強く残ったという点で、ファーストが一番強いわけです。 新しいものに関しては息子の方が得意で 要約する才能もあるので、分かりやすく説明してくれて(ネタバレ含むw) 熱もこもっているので私も

読書メモ35「凍りついた瞳」

非常に古い本である。 持っていたのは文庫でなかった気もする。 しかし、捨てられてしまったのなら買うまでのこと! というわけで購入。 「新」も読んだっけかなあ。 あったと思うんだけど忘れちゃった。 少なくとも10年は読めていないから。 私が「児童虐待」を知ったのは 児童相談所に一時保護された時だ。 だから40年近く前。 叩くとかは一般的な時代ではあったけれど 「首輪をつけられる」 「三つ指ついてお風呂に入らせていただきますお父様って言わなきゃいけない」 「家に帰りたくなくてお

映画メモ80「窓ぎわのトットちゃん」

言わずと知れた「窓ぎわのトットちゃん」のアニメ映画化。 とりあえず本を読んでから見ようと思っていたのでやっとこさ。 小林先生の言われたトットちゃんの中での 「大切な言葉」 を、噛みしめるように言う先生役の役所広司さんの声が 印象を強くしている。 そしてその意図をきちんと表現できる役所さんやっぱすごいな。 みんな一緒だよ、一緒にやるんだよ 私にも非常に「そういうところ」があって 好きだと感じた人が言うことを ほぼ100%「そうしなくちゃね」となる。 妄信のようだけど、その

映画メモ79「アイ・アム・セリーヌ・ディオン〜病との闘いの中で〜」

パリオリンピックの開会式で歌った彼女の姿は これを見てからだと感動の度合いが違ったろう。 最愛の夫を亡くして痩せてしまった姿は見たことがあった。 Facebookで元気な頃にスタッフと戯けたり カープールカラオケの姿を見てから意外に思って ファンまでいかなくても好感を持っていた。 スティッフ・パーソン症候群を発症したという。 非常に稀な疾患で日本では10万人に0.2人みたい。 けいれんを伴うということで てんかんの恋人がいた私には馴染みのある症状かしらと思いつつ鑑賞。

映画メモ78「地面師たち」

ネトフリさんありがとう。 なんすかこの豪華な感じ。 悪い人だらけじゃないか。 映画じゃなくドラマ、全7話。 綾野剛の繊細な演技がパズルのピースみたいにハマる。 豊川悦司の変態さは「ジャッジ!」のヤバさを思い出した。 生ぬるい温かさを残すところがトヨエツ感。 浅野忠信でも、と脳裏をよぎったがもっとキンキンに冷えるのでハリソンの生ぬるい気持ち悪さとやっぱちょっと違うかなーとか。 泉谷しげるだったろうとことにマキタスポーツ。 昭和は遠くなったなーなんて思ってしまった。 それは

読書メモ34「シグルイ」

これはどこかで見たことはあるでしょう。 それの原典はシグルイ。 冒頭の画像の時点では人の形を保っている牛股センセイだが この後はもう、人ではないものになっていく。 というか、登場人物が全部やべー。 人間の断面を見慣れこそしないが 教科書で見たり、写し書きさせられたりもしたので まあそうね、って感想くらいしか持たないものの だいぶグロいので、泣いちゃう人もいるかも・・・。 私は曖昧先生が一番好きで、曖昧な状態っていう表現が ああもう一生使っていきたい! と思ったのであった

読書メモ33「窓ぎわのトットちゃん」

1981ねんというから、43年前。 私も低学年だったのだろうか。 読んで、やっぱりトモエ学園っていいないいなって思ったことを覚えてる。 お弁当の「海のものと山のもの」は特になぜか覚えてる。 多分、「でんぶ」が分からなかったからだろう(好きな食べ物じゃないし)。 今ならネットで調べたらいいんだろうけど、当時は国語辞典くらいしかないなかで、あんなもの文字で見たって「????」だったろう。 時は過ぎ、教育は荒れ果て、というか 人心が荒んでると言った方が意味が近いかもしれない21世

読書メモ32「直観を磨くもの 小林秀雄対話集」

じんわりじんわり読み進めて、ようやく読了。 なんでなんでどうしてと言い続ける小林秀雄といった風情の対談。 特に湯川秀樹。 湯川秀樹と言い、岡潔と言い、 文章書かせても私のハートを鷲掴みにしてくるのなんで。 寺田寅彦なんかもそうだが、私は理系の男に弱いのか。 実際弱いんだけども。 私はさんすうも数学も苦手だけど全然嫌いじゃなくて 複雑すぎる世界が、(私には詳しく分からないけれど)シンプルな数式だけで表されていくのを心から美しいと感じるのだ。 五味康佑との音楽談義は、ちょっ

映画メモ77「ゴールデンカムイ」

実写版ゴールデンカムイ。 劇場に観に行きたかったのに、いつものことだけど 知らないうちに終わってるやつ。 変態博覧会であるマンガを実写にするなんて 勇気しかない。 そして、結構正しく変態でうれしい。 アシリパちゃんだって、ちゃんとオソマのときに ちゃんとあの顔してくれるし。 こういう仕事イヤって言うのとかあるのか知らないけど (白目むくのとか苦手とかはあるだろうが) ちゃんと仕事をしている皆さんへの好感度というか 役の人にしか見えない彼らは俳優なのであった。 愛じゃなくて