(読書感想文)「同志少女よ、敵を撃て」
逢坂冬馬著「同志少女よ、敵を撃て」読了。
※ネタバレ含みます。
怒涛の展開
まぁまぁの長編作なだけに、途中中弛みするかなと思ったが、むしろ続きが気になって一晩で読んでしまった。
衝撃的な事件から始まり、天涯孤独になった少女が戦うか死ぬかの二択を突き付けられ、幼い心に悲しい復讐心を宿しながら狙撃兵として成長していく。
その過程は衝撃の連続で、チームメイトの裏切りやそれを知ったうえでのイリーナの戦略。
スコープから覗かれただけでサッと反応できる元狙撃兵である教官2人。
「その前に…異物がいる」
「なんだ、知ってたんだ」
実戦に入り、エース狙撃兵が死に至り、狙撃のスキルだけではない、「一ヶ所に留まらないこと、自分の弾が最後だと思わないこと」という基本を忘れた大きな代償。
そして最後の終盤の息が詰まる怒涛の展開。
宿敵イェーガーとの対峙。
お互い、サンドラからの情報で命長らえ、そしてうまく活用した方が勝者となった。
宿敵との勝敗がついた後も、まさかの幼馴染との展開と、イリーナの覚悟。目を逸らしたくなるほど辛い描写が続く。
女性たちの闘い
選ばざるを得なかった運命といえど、過酷すぎる環境下でそれぞれの強い理念をもって闘う少女たち。
とにかく、女性の登場人物が皆カッコよかった。
純粋なスキルでは対等にならない。女性というだけで性暴力の対象となりうるシーンには心から憤りを感じ、高い戦闘力をもって闘う女性狙撃兵たちと、サンドラの生き方について考える。
正解などはなく、そのぐらい過酷な状況で選ばざるを得ない生き方がある。
事実は小説より奇なり
事実は小説より奇なり、とは言うが、
現在進行形で今も地球上で戦乱の地域がある。
そこでは小説に出てくるような、幼い頃から厳しい修行を積んだ戦闘員がいて、平常時と異なる価値観で生きているのだろう。
本作にも出てきた、相手をおびき寄せるためにあえて弾を外す作戦など、人道とは思えない、命と命を削る生き方。
ありふれた言葉にしかならないが、今この時代とこの地に生を得た幸運を想う。
子供や非戦闘員が、作戦のために撃たれるところが読んでて 1 番辛かった。
どうか、自分の子供や孫の時代まで、平和が続くようにと願う。
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