アンチフェミニズム

 自分の将来の話をするとき、最後に直面するのは「女性性」である。女に学は要らないとかいう時代は終わったらしいが、にわかに信じがたい。正直、フェミニストは顔の良くない女がまるで女全部を代表して物言いするのが気にくわないので、好きではない。

 私の母親は専業主婦だ。覚えている限りいつでも家で私を待っていてくれた。送り迎えもPTAの役員も全部、文句は言いつつも笑顔で引き受けていた。話は逸れるが、母親は多分世界で一番可愛い52歳だ。忘れ物をしてぴょこぴょこ家を走り回ったり、冷蔵庫を覗いていると急にむぎゅむぎゅしてくる。人の悪口はあんまり言わないし、気に入らない人がいてもそういう人もいるよねぇ〜と生暖かい目で見守る。最近はラノベとアニメが大好きで、新しくアニメが始まる時期はどのアニメを続けて見るかの選別に忙しそうだ。低い位置で結んだツインテールも世界で一番似合っている。父親はいつまでも子供だなあと馬鹿にするが、2人は高校生からの仲、きっと大好きなんだろう。

 小学校の行事で、親子で遊ぼう、みたいな会があった。PTA役員の私の母親は、お仕事で親御さんが行事に参加できない子の為に、母親役として一緒に遊んであげていた。少し寂しかったけど、お父さんお母さんが来れない子よりは寂しくないと思って、涙を堪えたことをよく覚えている。

 そんな絵に描いたような幸せな家族の一人娘としてぬくぬく育ってきた。勿論私の理想の母親像は、私の母親が見本となっている。

 ちゃらんぽらんしてきた自分が人並みの幸せを手に入れられるとは到底思えないが、一般論として出産が女性性につきものである。勿論女しか子供は産めない。それはホモ・サピエンスが哺乳類として進化する上での大前提だ。育メンとかいう言葉が流行った時もあるが、お前らから母乳が出るのか、という話だ。これは性差であるし、X染色体をホモに持って生まれた者の運命だ。生物が生きる理由はただ一つ種族の繁栄なのである。

 子供を自分の体内に授かる可能性がある時点で、男と同じようには働けない、という事実が私の腰を重くさせる。男が育休を取る事はあっても、自分が出産するので!と産休をとる事はない。女である限り、絶対に休まないといけないのである。

 高学歴女子は生涯ずぅっと働きたいと思うことが多いらしい。ああ、また学歴の話だ、結局女と学歴は水と油なのかもしれない。それにしても、前向きに自分の将来を生きることへの興味がない。以前に記したように、余生をいきているのだから。

 ここまで書いて、筆が止まってしまった。残念だが女であることが自分の将来を諦める理由にはならない。女で得したことも沢山ある。言い訳を探しているのかもしれない。

 結論、女であることに勝手に劣等感を感じてぎゃあぎゃあ騒ぐ事に意味は無い。それが生物としてあるべき姿なんだから。甘んじて受け入れたらいいじゃない。

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