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【第8号】鞍馬山|天狗が守る神秘の山

神社仏閣めぐりんぶん第8号は、「鞍馬山」を特集!

描きおろしのイラスト、1万4000文字の文章に、120枚を超える写真、今回も大大大ボリュームでお届けしてまいります。

それでは、神社仏閣めぐりんぶん「【第8号】鞍馬山|天狗が守る神秘の山」お楽しみください♪

👺はじめに


鞍馬山は京都市左京区鞍馬本町に位置する標高584mの山。東を鞍馬川、西を貴船川に挟まれた尾根が南北に連なり、古くから霊山として知られ、山岳修験の場として栄えました。

鞍馬山は山そのものが聖域とされており、神社仏閣の宝庫である京都でも、とりわけ強いエネルギーを感じる場所です。

山上にある鞍馬寺は、鑑真の高弟・鑑禎(がんてい)を開祖として、770年に建立された寺院。「毘沙門天」を本尊として奉安したのがはじまりと言われています。平安時代には京都の北方守護として、現在は鞍馬弘教の総本山として「尊天」を祀っています。尊天とは、人間を初め、この世に存在するすべてを生み出している宇宙生命・ 宇宙エネルギーを指し、「千手観世音菩薩」「毘沙門天王」「護法魔王尊」この三身を一体として「尊天」と称します。

護法魔王尊は、650万年前に金星からやってきたとされています。ヒンドゥー教のサナト・クマラと同じで、鞍馬はこのクマラに由来すると考えられているそう。

天狗
護法魔王尊

今回は「鞍馬寺」のみならず、「鞍馬山」そのものが持つ魅力にもフォーカスしました。記事の随所にちりばめられた写真からも自然豊かな「山の気」を感じ取っていただけるかと思います。

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👺鞍馬までの道のり


では、さっそく参りましょう!

世界遺産「下鴨神社」の最寄り駅、叡山電車「出町柳駅」から鞍馬線に乗車し約30分、終点「鞍馬駅」で下車すると、沢山の天狗さんが出迎えてくれます。

展望列車「きらら」は、席が窓側を向いており、春~夏は青もみじ、秋には美しい紅葉の風景を楽しむことができます。

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この時期、駅では岩手県名産の南部風鈴が美しい音を響かせています。この風鈴は、鞍馬と岩手県の2つの場所が源義経ゆかりの地であることから、義経が生きた地域の風を感じてもらおうと、岩手、三陸鉄道の協力を得て2013年から毎年夏に開催されているものです(2020年開催時期:6月20日~9月30日開催)。

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鞍馬駅構内はレトロでなんだか懐かしい雰囲気。

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駅で先ほどの南部風鈴の販売も行っており、売り上げの一部は東日本大震災の義援金として三陸鉄道へ寄付されるそうです(販売価格:1300円)。

鉄道好きの長男たっての希望で、数年前に購入したのですが、これがまたいい音色で、毎年夏には涼やかに窓辺を彩ってくれます。

駅舎の看板も風情があり、いい感じ。

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そして、駅舎の外側にはで~~~~~んと、大きな天狗がお出迎え。
以前は少し離れた場所にあったのですが、一度大雪で鼻がべっきり折れてしまったこともあり、その後修復されたのですが、老朽化でやむなく世代交代。少しポップな印象の天狗さんになりました。

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👺鞍馬山 山門へ


駅を出て少し歩くと、鞍馬山の 山門(仁王門)に到着します。
この時点で既に空気が違い、山特有の気が流れ始めます。

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キラキラと降り注ぐ木漏れ日。

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山門前には「狛犬」ではなく、「狛虎」がいます。虎は、鞍馬寺の御本尊の一尊でもある毘沙門天の使いの神獣と言われ、毘沙門天の出現が、虎の月・虎の日・虎の刻であったことから、鞍馬山では大切にされているそう。

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鞍馬山の 山門(仁王門)です。「鞍馬寺」と書かれた額がなんともいい雰囲気。この朱色の山門が浄域への結界となっています。ここで、愛山費300円を払い、入山します。

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入山時に栞をいただけます。「拝観料」ではなく「愛山費」としていることから、お山全体を浄域とし、大切にされているのが伝わります。

この山門、仁王門ともいいます。中を覗くと、ギラリと鋭い眼光の筋肉隆々マッチョの仁王像が!鎌倉時代を代表する仏師、湛慶(たんけい)作だそう。邪心を吹き飛ばしてくれそうです。

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愛山費を払って山門をくぐり最初に見えてくるのが、観音様の蓮の葉から水が流れ落ちる「還浄水(げんじょうすい)」です。今は時世が時世ということで取り払われていますが、普段はここに柄杓(ひしゃく)が置かれていて、手を清めることができます。

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何やら石に凡字らしき文字が書かれています。

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この石標は「町石(ちょうせき)」といい、本殿までの道のりを示すものです。8町7曲りの九十九折参道に8基が1町(110m)ごとに建てられ、上ると7町、6町、・・と数を減らし、最後は1町、つまり本殿まであと110mだと分かります。町石ごとに立ち止りお山の気を深呼吸しましょう。

本殿までに全8基あるそうなので、こんな感じの石を見かけたら、休憩&深呼吸ポイントにするとよさそうです。

👺鞍馬山 山麓を歩く

観音様横の石段から、鞍馬山を登り始めます。
空の青と、木々の緑、灯篭の朱がとっても綺麗。

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階段を上ると、右手にお地蔵さんが見えてきます。

「童形六体地蔵尊」という一枚岩に六童子を刻んだ、大変愛らしいお地蔵さんが。温かい慈愛の雰囲気に満ちています。すぐそばに保育園があり、こども達の声も合わさって、ほっこりした気持ちに。

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右手奥に見える建物が、普明殿(ケーブル山門駅)です。足腰の心配な方や、年配の方はケーブルで本殿近くまで登ることができます。

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今回は横の階段を上って、鞍馬寺の表参道である「九十九折(つづらおり)の参道」を登っていきます。この道は幾重にも折れ曲がる坂が続き、平安時代、清少納言枕草子の中で 「遠きて近きもの、くらまのつづらをりといふ道」 と綴ったことで有名です。

九十九折参道は、本当に気持ちの良い山の気に満ちているので、足腰が大丈夫な方は是非歩かれてみてください。

👺鞍馬寺 オリジナルマップ

今回も、当マガジンのオリジナルマップに沿って、鞍馬山の魅力をご紹介してまいります。 お山を何度も歩き「ここはスゴイ!」という RISA と RIN のイチオシポイントをイラストにしています。(各画像をクリックして拡大して読んでみてくださいネ☆)

2枚目の「鞍馬山マップ」では、山門から鞍馬寺の表参道である「九十九折の参道」を通り、本殿、奥の院を経て貴船へと抜けるルートに沿って、①~⑩の見どころをマップに掲載しています。もし鞍馬山を歩かれる場合は是非印刷してご持参ください。
3枚目は、撮影禁止エリアの国宝の「仏像」イラストを描きおろしました。

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