子供の幸福度
子供の幸福度で、日本は世界でも決して高い水準にあるとは言えません。2020年にユニセフから出されたレポートでは、主に以下3つの指標で幸福度を測っています。以下の日本の順位を見ると、身体的な健康にも関わらず、生活の満足度が低く、自殺の多い現状が順位を下げていることが分かります。
精神的幸福度:37位(生活満足度が高い子どもの割合、自殺率)
身体的健康:1位(子どもの死亡率、過体重・肥満の子どもの割合)
スキル:27位(読解力・数学分野の学力、社会的スキル)
ユニセフ報告書「レポートカード16」 先進国の子どもの幸福度をランキング
また、自殺に焦点を当ててみると、10‐14歳の死因で2位、15-19位の死因では1位となっています。それ以降の年代でも自殺が死因の上位を占めています。
平和を問う、子どもの自殺 SNS相談にSOS絶えず: 日本経済新聞
なぜこのような社会になってしまったのでしょうか。最近オランダ人の友人と、子供を取り巻く環境について話す機会があったので、オランダと日本の比較をしました。
オランダの場合
1.居場所が多い
オランダの場合、両親だけでなく、親族や近所の人が子供をお世話するのが通例とのことです。例えば就学前の乳幼児は保育園・幼稚園は多くても週2-3日程度で、その他は親族や近所の人が子供たちを集めてお世話するそうです。その分子供を見守る人が増え、子供としても居場所が増えているのかと思います。
2.学習塾はない
国語や算数の授業は小学校に進学してからで、進学後も学校以外では学ばないそうです。放課後はあくまで遊びの時間で、ほとんどの子供が公園で過ごすそうです。日本に来て、放課後受験塾に通う幼稚園生や小学生を知り大変驚いたとのこと。
あくまで、一個人の考えであるものの、このオランダの状況と比較すると日本はどうでしょう。
日本の場合
1."家庭"の役割が重視される
日本は子育てが”家庭”、とりわけ母親の役割が重視されているのは自明です。これは経済成長を効率的に成し遂げるため、昭和時代から続く価値観で今でも根深く残ります。例えば、こどもの福祉向上を目的とした省庁横断型の「こども家庭庁」が設立される予定です。当初の名称は「こども庁」だった故に、責任の所在を依然家庭に据え置いているように見受けます。
【詳しく】みえてきた「こども家庭庁」 どんな組織に? | 教育 | NHKニュース
2.勉強・進学に対するプレッシャー
統一試験の導入を期に、日本では受験戦争が過熱しており、その傾向は低年齢化しています。中学受験を挙げると、近年は都心部では5人に1人が中学受験する状況が続いています。実際に私の住む地域では、中学受験前に塾に入るのにも入塾テストがあり、席を確保するために小1からの入塾が勧められる場合もあります。
『二月の勝者』より中学受験の実態は過酷? 塾選びの落とし穴:日経ビジネス電子版
その状況を背景に、内閣府の調査(平成27年度)では小中高生の悩みで最も多かったのが”勉強・進学”であり、多くの子供が不安を抱えていることが分かります。
第2節 意識|平成27年版子供・若者白書(全体版) - 内閣府
上記比較は、あくまで私の友人の話しに対して、相反する日本の状況を顕著に示した事例を並べています。ちなみにオランダは冒頭の子供の幸福度ランキングでは1位の国です。その差は大きく、戦後の政策や学校制度、価値観など様々な問題が関連しており、根が深いと感じます。
親として、また例えば国を動かせる立場であったら、この状況を改善するためには何をするべきでしょうか?そんなことを日々考えています。
私の意見は別の記事で記したいと思います。
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