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SNSとエコーチェンバー

2017年にイギリスで14歳の少女が自殺する出来事がありました。
少女は自殺をする直近の6か月間に、Instagramでは12,576回、またPintarestでは15,000回ほど不安感や躁鬱感を煽ったり自傷行為や自殺に関連したりする投稿を閲覧したことが分かっています。
この出来事を契機に、自殺から5年以上の月日が経ちましたが、ようやく18歳未満のネットの閲覧に制限を設ける法案が検討され始めました。


行動経済学では自分の見たものがすべて(what you see is all there is ”WYSIATI”)という考え方があります。人は内容・中身ではなく、見え方(外見・表現)で判断をするということです
メディアやECサイトはこの人間の性質を利用し、過剰に特定情報を流し続けたり、閲覧状況から「おすすめ」を表示したりすることによって、音楽スタジオの残響室(エコーチェンバー)のような状況に至らせ、認知の偏りを増幅させていると言われています。

彼女が過激的な投稿を継続して閲覧したのには、必ず何か動機があったはずです。それは家族や友人間のトラブルにより辛い思いをしたのが理由かもしれませんし、そういったものは何もなくただ興味本位で閲覧し始めただけなのかもしれません。
しかし、数件閲覧した結果、彼女の端末に関連動画が表示されたとなると、それはSNSによる自殺教唆罪と同罪だと考えます。それを防ぐために、投稿内容を制限したり閲覧を制限したりすることは一定の範囲内なら許容されるべきだと思います。

一方で、法や仕組みによる制限だけでは、あらゆる方法で投稿・閲覧をする人とのいたちごっこになるのは目に見えています。

どこかで負の連鎖にストップをかけるには、他者の介入が不可欠です。

ヘルプマークをいつも見るところに


2018年に世界で先駆けて、イギリスでは孤独省が設立され1000を超える幅広い団体が基金による助成を受けているようです(2021年3月時点)。
イギリスにおける子ども・若者の孤独対策の活動30選 | OVA (ova-japan.org)

このような支援団体が多くある上で、本当に必要な人にどう届けるかはやはり、人の特性を捉え、継続的に目に触れるところに訴え続けることなのかなぁと思います。

私の通う大学では、トイレのドライヤー付近にメンタルヘルスの相談を促すポスターが掲示されています。ほぼどのトイレにも掲示されていて、しかも何枚も掲示されているため、大学に行く日は何度も見ます。
それにより、何かあった際の連絡先を知っていることは、何かあった際に探さないと分からないことより、遥かに心理的に安心を感じるのは確かです。

人は普段見ているものに多分に影響を受けます。
少しの工夫で、本当に必要な人に支援を届けることができます。


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