「ここにあるシアター」
思えば、桜が咲き始めるのと同じ頃、同じように、毎年必ず訪れていたのが高崎映画祭だということに、当たり前だが気がついた。
未曽有の出来事により足止めを食いながらも、直向きに丁寧に重ねていくこの祭りごとに映し出された誠実さが、ただ好きなのかもしれない。
だが、ただここにあることが、どれだけ偉大なことか。
映画祭に赴く頃はなんだかまだ少し肌寒く、春なのに、雨が降る。桜はいつも少し濡れているような気がする。
咲くことと散ることは当たり前であり、そして特別である。それを恐れずに残せ