はじめに 伝える力とは何だろう?
フリーアナウンサーの広末リサです。
司会、ナレーション、講師業を中心に声を使うこと、人前で喋ることを生業にしています。
このnoteでは’’伝えること”について重要なこと・スピーチなどで話をするうえでのコツなどを発信していきます。
ところで皆さん、いきなりですが伝えるうえで大事なことってなんだと思いますか。
私は仕事柄たくさんの方のスピーチや話を聞いてきました。
政治家のような国を率いるリーダー、大企業の社長のような日頃から大勢の人を前に話すことに慣れているであろう人から、普段全く人前で話す機会がない人まで。
その沢山の人たちを見てきたなかで感じたのは、聞いていて引き込まれるスピーチというのは、共通して「私に語りかけている」そう感じさせられる瞬間が必ずあるとういうことです。
私に話しているんだ
私に伝えようとしているんだ
そう感じさせられると、聞き手は喋り手の話に耳を傾けて聞こうと思うんです。
私が司会の仕事を始めた当初、正しい言葉で情報を正確に伝えることが一番大切だと思っていました。
「上手に話せている」と自分ではそう思っていたのですが、師匠から言われたのは「普段の広末の喋り方と違う。別人みたいに聞こえる。」という感想でした。
きれいに喋ってるのに何か問題ある?
普段の喋り方と違ったら何がいけないの?!
それくらいに思っていました。
でも、マイクを持ったから普段の自分と違うってそもそも変なことです。
師匠から教えてもらったことでその後私の喋りを格段に変えてくれたアドバイスは
「大勢に向かって喋るのではなく、誰か一人に向けて話す」というものでした。
司会台から全体を見渡して、こっちを向いてくれている人を見つけると
この人!と決めたらその人一人に話しかけるように喋るようにしました。
それまでの、いつもの私ではない不自然な喋り方に聞こえていたのは
声のトーン、喋るスピード、話す内容の大きく3つが関わっていたと思います。
マイクを持つと声は少し高めになり、スピードは丁寧に喋ろうとしてゆっくり一定で、話す内容は原稿そのままでした。
でもそれが、特定の一人に話しかけると決めてから、その人の動きや表情を確認しながら喋るようになりました。
普段の声のトーンで、スピードは自分でペースを決めるのではなく相手の動きやペースに合わせて喋るようになったのです。
喋る内容についても、必要に応じて補足したり言い換えたするようになりました。
例えば人が集まる場所でのMCではこのようなお願いをするアナウンスが昨今は定番になりました。
この文章を、特定の誰かに伝えることを意識すると喋る内容がこんな風に少し変わります。
先ほどにはなかった「恐れ入りますが」という言葉が付け足されました。
少し手間ではあると思うのですがお願いします、というような気持ちが入ったので自然と付け加えられた一言です。
「また」という言葉を、お食事中と写真撮影の時の間に入れることで間ができるので、まだ席に到着したばかりで荷物を机の下に置きながら聞いている人や、誰かと話をしている人でも耳に入ってきやすくなります。
マスクケースを使うように案内する際には、実際にテーブルの上に用意しているマスクケースを見て喋っています。もし袋の中に入っているなど見つけにくそうな場合には、「お手元の袋の中にマスクケースが入っておりますので、どうぞお取りだしください」等と言います。アナウンスをしながら常に、この人と決めた人の動きを見ていて、伝わってなさそうだなと思うときには全体を見渡し他にも伝わってなさそうな人がいるなと思ったら、言い方をより丁寧にしてもう一度アナウンスすることもあります。
このように同じ情報をアナウンスしているのですが、ただ話すだけではなく、誰かに伝えようとする意識をもつことで話す内容にも差が生じるのです。
特定の一人に対して話すと全体に伝わらないのではないか、と思うかも知れないのですが
その人ひとりに対して伝わっていれば、他の大勢に対しても伝わりやすくなるのです。
逆にひとりの人間にも伝えられないような言葉は、全体に受け入れられるはずないですよね。
これは、プレゼンやセミナーなど人前で話す際にも同じやり方が使えます。
あなたの方を向いてうなずきながら聞いてくれる人がいたら、その人に向けて喋ってください。
それだけでもきっと変化があるはずです。
他にも、いろいろなケースごとに”伝えること”についてご紹介していきます。
スピーチをする機会があるけどどんな内容にしようか悩んでいる
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