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試し読み

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縞田理理試し読みマガジン。
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#英国

《宇宙で一番美しい猫》抜粋

《宇宙で一番美しい猫》抜粋

 懐の仔猫が甲高い声でぴゃあ! と鳴いた。
 にゃあ、でも、みゃあ、でもない。ぴゃあ。まるで小鳥みたいに澄んだ硬質な声だ。
「腹が減ってるのか?」
 ぴゃあ!
「そうだよな。ちょっと待ってくれ」
 急いで居室に戻り、山羊ミルクを湯せんで人肌に暖めて紅茶カップのソーサーにあけた。仔猫は待ち切れなかったらしく、すぐさま一心不乱に飲み始めた。まだ大人猫のようにうまく舌で舐め取れず、ミルクに口先を突っ込む

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《世界で一番幸せな猫》抜粋

《世界で一番幸せな猫》抜粋

 わお! と思った。なんて綺麗なんだろう。 こんなに美しい生き物がこの世にいるなんて、びっくりだ。

「すげえ綺麗だ。こんな綺麗な猫、見たことないや……」

「メヒタベルよ。ベルって呼んでるの。チンチラ猫で、もう十四歳。わたしと同じくらいお婆ちゃん」

 テーブルの上には真っ黒な細身の猫がいた。黒い毛並みがつやつやと光っていて、淡い黄緑の目をしている。黒猫はテーブルの端まで優雅に歩くと、ひらりと椅

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『裏庭で影がまどろむ昼下がり』第一話試し読み

『裏庭で影がまどろむ昼下がり』第一話試し読み



   1これって、かなりやばい

 テル・ラナクルズは大またに歩きながらプラスチックの大目玉みたいな街頭監視カメラを見あげた。隠し持ったブツを確かめたくてたまらないのだが、カメラが怖くて出来ないのだ。

 きょうび、ロンドン警視庁はこんなカメラをロンドン中に仕掛けている。カメラの前でうっかりヤバいそぶりを見せようものなら、ばっちり撮られて手が後ろに回ってしまう。

 大通りのカメラから充分に離

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「霧の日にはラノンが視える」試し読み



   0地獄穴

 科せられたのはの刑である。
 ダナ人の王の私生児にして死刑囚であるジャックは凍てつくように蒼白いフロスティ・ブルーの両眼を見開いた。
「目隠しを」
「いらないよ」
 漆黒の髪をかきあげ、父王が指定した立ち会い人のカディルにちらりと目をやる。ジャックが幼いときからずっと養育係を務めてきたカディルは手折られた百合のようにうなだれて《地獄穴》の周囲を吹く風に嬲られていた。
 すま

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