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「ブランディングしない」Aesopのブランドストーリー

好きなブランドやよく購入するブランドについて調べるとテンションが上がるので、知り得たことを記録のために残したいと思います。

本日はイソップ 。Aesop と書いて(イソップ)です。初めて商品を知ったのは8年ぐらい前、化粧品の輸入会社に勤め、倉庫を歩いていた時に犬のシャンプーでめちゃくちゃ高額なものを発見しました。それが私とイソップの出会いです。それから7年ほど経過しましたが、最近3アイテムぐらい購入しました。ふと、なぜ一般品の5倍ほどするプロダクトを購入したくなったのか自分でも気になって、イソップのブランドについてと自分のカスタマージャーニーを紐解いてみました。

Aesop(イソップ)とは

1987年創業。創業者デニス・パフィティス。本社をメルボルンに構え、世界中にオフィスと店舗があります。研究を重ねた植物由来成分と非植物由来成分を使用した優れた優れたスキンケア、ヘアケア、ボディケア製品ブランドです。

Nature&Co.という会社の配下で、ボディショップやNaturaというブランドをほかに所有しています。

世界的には2014年から2019年にかけて世界的な店舗数が2.4倍で240店舗を展開しています。


日本での展開は、1990年後半のバーニーズ ニューヨーク新宿店からスタートしました。現在では、30店舗を超える店舗が全国で展開されています。

私が買ったもの・なぜ買ったか

①ハーバルボディミスト(ボディミスト):消臭ができて大人っぽい香りになれる上質なボディミストを探していたところ、イソップでみつけました。


②ゼラニウム ボディスクラブ(スクラブ):友達の誕生日祝いにボディスクラブを購入しました。化粧品メーカーで商品企画をしていた際に、ピカピカになるボディスクラブがあると聞いてずっと気になっておりました。彼氏ができたばっかりの子だったので、ぜひと思ってプレゼントしました(笑)


ブレスレス(ボディオイル):これも友達の誕生日祝いに購入しました。移動が多い仕事をしている友達だったのでお家でリラックスできたらいいなと思ってプレゼントしました。

一つは自分に購入しましたが、他は友達へプレゼントでした。日常使いではなく「友達の特別な日に送りたい、日常で使える特別感のあるプロダクト」的ポジションになっています。余裕があれば自分にも買いたいプロダクトですね。

ブランディングではないAesop のブランド作り

①宣伝しない

「売らない」ことがイソップの哲学の一部。リスティング広告などを行わないことによってそのもの自体にフォーカスできるようにしています。派手な広告ではなく、上質なプロダクトと店頭での体験によってブランドファンが幸せな口コミを広げてくれるのです。

②地元に溶け込む

イソップはそのデザインにその町のエッセンスを取り込み、近隣との関係を築きます。そのため、各店舗はそれぞれユニークでありながら、かつてないほど洗練されたデザインで他の店舗と一体感を出しています。

③あなただけの芸術作品のように

イソップの各店舗は丁寧に創造された芸術作品です。創業者のDennisPaphitis は「興味深く魅力的な店舗と顧客の関係性には直接相関関係がある」と述べています。しかし、同時に店舗でブランド感じる体験だけではなくプロダクトは高い品質を追求しています。

④真に製品を愛する人を従業員にする

イソップは、従業員は最高のブランドアンバサダーと考えています。真に製品を愛する人を雇うことで製品やサービスへの愛を周りに広めてもらうことができます。イソップはこれこそが、最高の販売ツールだと考えています。

日本でのファン獲得|自身のカスタマージャーニー

なぜ私が最近商品を購入するようになったのか、そのきっかけはなんだったのか思い出してみました。流れは下記のようなものでした。

①店舗を見かける:なんだか高そうで入れない
②インスタグラムで商品価値を知る:高いけれど「生活の質が上がる」そんな商品だと理解。
③再度店舗を見かける:友達のプレゼントになら買ってみてもいいかも④
④店舗体験:丁寧・・・オシャレ・・・なんだか上質な生活になりそう。
⑤購入:いい商品をプレゼントできたかもしれない!また新しい商品がでたら自分用にも検討してみよう

こうしてみると、インスタグラムでのファンの投稿と自身での店舗体験・商品体験によって見事にファン化していました!重要だと思ったのはインスタグラムでの投稿です。数年前からインフルエンさーのPR投稿でのマーケティングがコスメ業界を中心に多用されていますが、イソップの場合は「完全に自発的投稿」です。その流れを作れたのも、イノベーター・アーリーアダプターが店舗素晴らしい体験をし、商品の価値を心から感じたからだと思います。

なぜ、高いのにブランドファンが多いのか?

その答えは、「目の前の人を魅了してその人の周りに伝えてもらう」を徹底した手法にフォーカスしているのだと思います。安い・コスパ・30%OFFなどの一般的な広告手法ではなくハイブランドのようなポジションを確立しているのではないでしょうか。ポジションを守って行く為には、そのファン・フォロワーを裏切らないプロダクト・接客力が伴っていなければなりません。小手先の広告テクニックではなく、ブランドのポリシーをもっとも大事なのだと思います。

コロナ禍での店舗体験

新型コロナウイルスで店舗への入場が制限されていますが、イソップでは特徴である「店舗体験」をどのように実現しているのでしょうか。

先日店舗に行ったところ、イソップでは、入場券を配って一人一人丁寧に接客していました。事前に検討したい商品をヒアリングし、必ず一人一人店頭で商品トライをしつつ、商品の紹介をスタッフさんがしてくださいます。私は梅田阪急店行きましたが、同時に3名程度しか入れません。そのため常に3名以上外で並んでいるお客さんがいます。そのような状況でも「店舗体験」を大事にしている理由はイソップの哲学にありました。

「並んででも」購入したい・商品を体験したいと思わせるまで顧客を引きつけてきている点も素晴らしいと思います。コロナ禍になり、ZMOT(Zero Moment of Truth=ジーモット)の行動フローがさらに重要になってきていると考えます。イソップがコロナ禍でも店舗に行列ができる理由はイソップのストーリーテリングがSNSを通じて広がり、結果的にコロナ禍で威力を発揮しているからではないでしょうか。ファンがプロダクト・ブランドの良さをSNSで発信しています。そうすることで、その投稿を観たフォロワーが「店に来る前に狙いを定めている」状態になっています。店舗でのファーストコンタクトの場合、高い商品を初めて買うのは尻込みして店員さんが話しかけて来ようものならすっと店から出てしまいます。しかし、誰かが「絶対に買ったほうがいいよ!その価値あるよ!」とTwitterやInstagram上で投稿していると、気になって「そこまで言うなら買ってみようかな」といった心理になって来店します。また、「気になる商品」がある為店員さんに話しかけられた際にしどろもどろする場面も減少します。結果的に「お客さんはめぼしい商品を体験でき、店員さんは興味のある商品をお客さんに紹介できる」ことで購買率が上がっているのではないでしょうか。

ウェブでのストーリーテリング

イソップのホームページには「読む」といったページがあります。そこには、ブランド哲学や店舗デザインについて、イソップが生まれる小説のような物語(英語)が掲載されています。これらのサイト体験も強固なブランドへの愛を作っているのかもしれません。

まとめ

イソップは高価格にもかかわらず、同世代のファンも体感として多いですが、広告やインフルエンサー施策を見たことがありませんでした。その背景には、これらのブランド哲学があったのですね。本当に製品やサービスを好んでくれる人を考えることで長く・深く愛されるブランドになっているだと思います。マーケティング戦略やブランディング戦略など様々な戦略を耳にすることがありますが、イソップの「売らないブランディングストーリー」はそのような方法ではなくても成功することを証明しているのかもしれません。

参考資料

https://www.aesop.com/jp/r/about/
https://www.businesswire.com/news/home/20190301005144/ja/
https://www.vogue.co.jp/beauty/article/2019-10-23-aesop-news#:~:text=1987%E5%B9%B4%E3%81%AB%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%83%A1%E3%83%AB%E3%83%9C%E3%83%AB%E3%83%B3,%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%A8%E3%83%BC%E3%82%AF%E6%96%B0%E5%AE%BF%E3%81%AB%E5%A7%8B%E3%81%BE%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%80%82



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