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そこのところをていねいにする

 気がつけば、前の記事から一週間が経ってしまった。久しぶりに講義をした話をどこかで書こうと思いつつ、どう言葉にしたらいいのかと思い巡らせているうちに時間が経ったという感じ。

 講義の中で自分がやってみたいことを学校側に伝えた結果、90分×4コマも授業をさせてもらえることになって、先週、そのうちの2コマを終えた。ひとことで言うと、とても良い時間を過ごすことができた。
 学校の先生からは「うちの生徒たちはおとなしいんで、質問とかが出ないかもしれませんけど、中には情熱をちゃんと秘めているんで」と事前に聞かされていた。なので、そこのところはていねいにやりたいなぁと思っていた。そこのところというのは、彼らの中にある情熱に空気を送り込むところという意味だ。

 初対面の相手に質問とか感想を表現してもらうには、「この人に聞いてみたい」とか「この人になら聞いてみても大丈夫」というような思いを相手に抱かせる必要がある。「質問がひとつも出ないなんて、消極的な学生さんたちだな」とか言う前に、質問を引き出せる仕掛けをどれくらい用意したかということが、わりと大事なのだと思う。そういうことを私は患者さんたちからたくさん教わってきた。こころ傷つき、閉じている患者さんたちに自分のことばを語ってもらうためには、まず相手に私を見てもらって、信用(安心)してもらわないといけない。

 相手が発言しないのは相手の問題ではなく、両者の間にある問題

というのが、私の基本的な考え方だ。

 そこのところをていねいにやった結果、学生さんたちからはたくさん手が挙がって、良い質問をたくさんもらった。やり取りができた感触を得て、私はとても楽しかった。

 見学していた先生からは「学生に寄り添う眼差しに感動しました」という感想をもらった。学生に寄り添うって、どういう感じなんだろう。自分ではよく分からなかったけれど、私のていねいさがそのような印象として伝わったのなら良かったと思う。

 学生さんたちの熱心さにこちらが元気をもらって帰ってきた。日本の未来は安泰だ、みたいな(笑)。

 今週、もう2コマ授業が残っている。これは私が学校にお願いして、チャレンジさせてもらう内容だ。

 細いかもしれないけど、先週の講義でできた学生さんたちとのこころのパイプみたいなものを通して、私のエールが伝わるといいなと思う。学生さんたちがお互いに助け合う素地のようなものをつくるプロセスに少しでも貢献できるといいなと切実に思う。

 さあ、今週もがんばってきます。


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