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ひとりで地獄に堕ちないで

すごいタイトル(汗)。

あるストレスから、メンタルの調子が落ちてしまった夫。
未明に目を覚まして、一人悶々としている夫に
「どうしたん」と声をかけると
「地獄に堕ちているところ」という返事がもどってきた。

それに対する私の言葉
「ひとりで地獄に堕ちないで」が今日のタイトル。

「ひとりで地獄に堕ちるなんて淋しすぎるから、私にも地獄を分けてよ」
と付け加える。

我ながらスゴイこと言うなぁ・・・まるで演歌やん(←心の中)。

笑いもせず、夫はいま自分がどんな地獄にいるのかを
ぽつりぽつりと語り始めた。

ストレスの原因は明らかだった。
元職場の人たちも参加しているミーティングに参加したことだ。
「オレを無視するなよ」
みじめな思いを夫はそのひと言に凝縮した。

「あなたを必要としてくれる人は、別のどこかにきっといる。
だから
あなたのことを尊重してくれない人たちと一緒にいる必要はないよ」

私はそう繰り返す。
要はマッチングの問題。

そうやって
しばらく地獄の中で、二人でひそひそとやり取りをしているうちに
夫は地獄を脱する鍵を手に入れたようだった。

「考えるのはいいけど、とらわれたらアカンって気づいた」
囚われ。
たしかに八方ふさがりの地獄だ。

地獄に堕ちている相手を引っ張り上げようとする人がいる。
「ダメだよ、そんなとこに居ちゃいけない」とか
「他のことでも考えて、切り替えよう」とか。

眠気の中で、何気なく発した言葉だけど
むしろ自分が地獄(相手のいるところ)まで降りていって
しばらく時を一緒に過ごすほうがいいのかもしれない。

引っ張り上げない、でも孤独にしない。
そうするには、私が地獄のほうに寄っていくしかない。

病院に勤めていた頃、患者さんの話を聞く時
「相手の中にある海に一緒にダイブするイメージ」が私にはあって
そうやって「一緒に潜るからこそ、手にして戻れるものがある」ような
そんな気がしていたのだけれど、まさにそんな感じだ。

安全な潜り方を教えるには、一緒に潜るしかない。

このやり方が正しいのか分からない。
誰かの傍らに寄り添う人たちすべてに
当てはまるやり方かどうかも分からない。

そのまま一緒に溺れてしまうリスクもあるわけで
そう簡単に勧められる方法ではないかもしれないけど。

でも「相手には地獄から自力で脱する力がある」と
信じるところからしか始まらない何かがあるような気がする。

相手への信頼と覚悟。
それ以外にもタイミングとか、いろいろあるのかもしれないけど
そういうのがうまく働いた時
地獄の非常口がぱかんと開いて、脱出できるのだろう。

地獄の非常口。

このフレーズも我ながら面白い。
まじめなんだか、不真面目なんだか。

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