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#13 幸せの本質②報酬的幸福・報酬系のはたらき


(基本的にこれまでに挙げた内容に基づいて置換したもの)


▶︎報酬系・ホルモンのはたらきと〈幸せ〉の認識の関係
🌟脳の【報酬系】のしくみ・はたらきがわたしたちの幸せの認識に多大に影響する


●報酬的幸福

「"報酬"を得た」という感覚によってわたしたちが〈幸せ〉という認識をしやすい、『報酬的な幸せ』についてです。
大きくこの3つに分けられます。

①物理的な報酬
②心理的な報酬
③関係的な報酬


↳:
①物理的な報酬:何か具体的なものを得ることで感じる幸せです。例えば、新しい車を購入する、おいしい食事をする、高額なボーナスをもらう、などの物理的・物質的な利益を得ることにより感じる幸福感です。

②心理的な報酬:期待していたことや目標を達成することで得られる内面的な感覚です。例えば、難しいプロジェクトを成功させる、長期の目標を達成する、他人からの承認や感謝を受けるなど、心理的な満足感や達成感に基づく幸福感です。

③ 関係的な報酬:人間関係や社会的つながりから得られる感覚です。例えば、愛する人との時間を過ごすこと、友人との楽しい会話や共同の経験、他者との協力や支援を通じて得られるものなどが含まれます。
(①と②の要素が組み合わさって生じるもの)

外部や他者から得た情報を認知し、それに従い目標や基準を立て、それを自分が〈幸せ〉として認識すると、それは報酬的幸福となります。(:「幸せに『なる』『なれる』『なりたい』」のような認識をしたとき、それはすべてそうなる)

このような幸せは基本的に、外部からの刺激や社会的基準によって得られる一時的な満足感や幸福感になります。

わたしたちにとって『報酬』とは、『=生存につながるもの』です。
そしてこの『報酬』を感じとると満足感を得るしくみはあらかじめ脳にプログラムされているものになります。これは基本的にわたしたちが抗えない、自然的なはたらきです。
また、この現象には"中毒性"があります。

・報酬を得る→生を感じる⇒※心理的直感で安心を感じる⇒『幸せ』という認識
・報酬を得られない→死を感じる⇒※心理的直感で不安や恐怖を感じる⇒『不幸』という認識


<このような幸福感は外部の状況や条件に依存するため、持続的な幸福を得るためには内面的な満足感や自己認識が重要。
(つまり、この報酬系がはたらいて得られるような幸せは、必ずしも自分自身の幸せとつながるわけではない・「自分を幸せにするかもしれないもの」にしか過ぎないものである・これらをそうとする前に自分で意識的な認知などを行う必要がある、ということ)>

○表裏性の原理/「ある」「ない」の認識論との関係

わたしたちが世界になにかが「ない」状態の認識したとき、それは「あった」という証明がなされることになります。(自分の内的な認識において『気づき』となるしくみ)

この原理により、「これは〈幸せ〉なことである」というのを認識したとき、そうではない状況は〈不幸〉という認識が生まれ、「ない」ことは不安、不満となり⇒それが中毒症状や不足感、不安感につながる、ということが考えられます。

●報酬系の段階

🌟大きなポイントとしては、『報酬=生存』という点

<一応おさらいとして:
「なにかを得る」⇒物理的に、ものを得ると自分の肉体的なエネルギーとなる
「なにかを与える」⇒心理的に、他者になにかを与えると自分の精神的エネルギーとなる

ので、このような行為を行うと脳では「報酬」を感じます。
✔️『情報』を感知するだけで報酬系は活性化するいうこと

わたしたちの脳内の報酬系には、主に4つの段階があります。

以下、AIから抜粋したもの↓

1. 報酬の予測(Anticipation):何らかの報酬が期待される状況で報酬系が活性化されます。たとえば、美味しそうな食べ物を見て食欲が湧く状況で、報酬の予測が始まります。
2.   報酬の獲得(Acquisition): 実際に報酬を手に入れる瞬間です。例えば、食べ物を食べる行為がこれに相当します。この段階で報酬系が最も活発になります。
3.   報酬の消費(Consumption):手に入れた報酬を体験する瞬間です。食べ物を味わう、ゲームをプレイするなどがこれに相当します。
4.    報酬の評価(Evaluation):報酬の価値を評価する段階です。報酬が期待通りのものであったか、感じた喜びや満足感を評価します

★報酬を予測しただけでドーパミンが分泌されることがある。この予測が正しいと更なる分泌が促される。

⇒前回の⑴の信仰のはたらきと併せた例を出すと:
脳の報酬系のはたらきと、心理的な信仰のはたらきにより

1.〈「お金があれば幸せになれる」という情報を認知し、信仰〉⇒報酬の予測
【脳で報酬系が段階的にセット】

★この間に報酬獲得の過程が存在。下記↓

2.〈実際にお金が儲かる〉⇒報酬の獲得
3.〈そのお金を使う〉⇒報酬の消費
4.〈得られた報酬の満足度を測る〉⇒報酬の評価

《これらは基本的に無意識の領域で行われる》
※ただし1.と4.のときに意識も微量にはたらきます。

↳この「4.」のときに自分の意識がよくはたらくかはたらかないかで、自己認識や心理的な健康に影響が出る可能性がある

その情報を信仰しきった状態のまま報酬を獲得した場合、自分の心の感知しないままに無意識のところで満足感を得て終わらせてしまうので心理的にあまりよくない影響となりやすい。心理状態を意識的にマネジメントすることが難しくなったりなど。
(:報酬が得られない=自分の思い通りにいかないとイライラしたり怒りやすい、または悲しみ傷つつきやすくなる。無気力になる。⇒報酬中毒状態に陥る)

対して、半信半疑(自意識的な思考をはたらかせた状態)でその報酬を得て、「自分はそれをどう評価するか」を意識的に行いその情報を吟味し認識した場合、自己認識や心理状態にいい影響を及ぼす可能性が高いです。

つまり、
・信仰する形で報酬を得た
とくに意識的な思考処理をしない→「得られたのだから私は幸せだ」という表面的な認識

・半信半疑で報酬を得て思考処理と選択を行った
「これは本当に自分にとって幸せか?」と疑う→『幸せ』と感じていると思えたら幸せと、「とくになにも感じない」と思えば自分にとってそうではない、と深層的な認識、選択を行える

※これらの認識は0と100で起こるわけではない

この過程の中で期待していた報酬が得られずストレスを感じることがあった場合(:報酬予測エラー)その報酬への期待は高まり、より強くその情報を意識するようになります。
たとえば、"お菓子を禁じられて育つと大きくなって爆食するようになりやすい、貧困環境で育つとお金や他者に執着する人間になりやすい"などがこれとつながる

↳○報酬中毒

報酬と幸せを「=」で捉えてしまう状態が持続すると、報酬中毒のような状態に陥りやすくなります。

また、脳は新しい情報に報酬を感じるように進化しているので、たとえばSNSの即時報酬を提供するしくみにハマるとドーパミンが過度に分泌され、報酬中毒状態が引き起こされることがあります。

このような状態に陥ると、自分の意識で自分が幸せを感じるものを取捨選択する力がつかなくなり内面的なプロセスを行う際の支障となります。

●意識情報のはたらき

意識情報は、自己の情報を決定・確定づけたいとする心と直結したはたらきです。自尊心を構成します。

人は他者との比較で自己評価を行います。なので生きている中で自分にないものを持っていて自分より豊かそうに幸せそうに生きている他人をみつけると、大抵の場合意識情報が揺らぎます。
そうして自身に不足がある感覚に陥り、その不足分を埋めたいという欲求が芽生えると報酬系が活性化されます。
この過程でドーパミンが分泌されると、目標達成に向けた行動が強化されます。

このはたらきによっても、自己認識のプロセスが無視される形に繋がりやすいです。


たとえると、食べ物をみつけて自分に不足するエネルギーを補おうとするように、自分の精神的な不足を補おう

報酬(自分を生存させるもの)を奪われたくない
→戦闘心に発展

●神経伝達物質とホルモンのはたらき

主に報酬系ドーパミン、幸福ホルモンセロトニンについて

〇ドーパミン
ドーパミンは報酬系に強く関与しており、主に瞬間的な快楽や達成感、期待感などに関連しています。たとえば、目標を達成したときや、新しい経験をしたときなど、外部からの刺激によって得られる幸福感です。このため、ドーパミンが関与する幸せは直感的で、外的な要因によって引き起こされることが多いです。例えば、買い物や美味しい食事、ゲームのクリアなどです。

〇セロトニン
一方、セロトニンは安定した幸福感や満足感、心の平穏に関与しています。セロトニンが多く分泌されると、リラックスしたり、満足感を感じたりすることができるため、内面的な幸福感につながりやすいです。たとえば、瞑想や散歩、友人との穏やかな会話など、内面的で意識的な活動が関連しています。

このため、ドーパミンがよく働く形での幸せの認識は、短期的で即時的な満足感や外的な刺激に依存しやすく、セロトニンがよく働く形での幸せの認識は、長期的で持続的な満足感や内面的な平穏に関連していると言えます。ただしこの二つの幸福感は相互補完的であり、バランスを取ることが重要。



まとめも:
〈幸せ〉を"獲物"のように捉えていると、それを得たとしても一時的な快楽なことが多く、また中毒性のある脳内快楽物質が出るので渇望状態になりやすく、"自分から発生するもの"、のように捉えていると脳ではセロトニン系のものが多く出て精神にいい状態となりやすい。

「〜であること」「〜を得ること」「〜になること」のような集合的な幸福の価値観を信仰し、従って生きること、そして、そもそもそのような価値観をつくりだしてしまうことは、結果的に自らを不幸に陥れることとなりやすいものとなる。また、心の認知力が鈍る。

大多数の人間は脳のはたらきにより幸せの認識を誤ってしまう。


●幸せに「なる」という表現の問題

(AIとのやりとり抜粋):
一般的に「幸せになる」という表現は、何か特定の状態や条件を達成することによって幸せが得られるという報酬的な捉え方を示唆しています。この表現には、外部からの報酬や達成を求めるニュアンスが含まれています。
「幸せになる」という表現の問題点
1. 外部条件への依存:
・「幸せになる」という表現は、特定の外部条件や目標(例:結婚、金銭的成功、社会的地位)を達成することが幸せの前提とされています。このため、これらの条件を達成しない限り、幸せが感じられないという考え方を助長します。
2. 報酬的な捉え方:
・幸せを「なる」ものと捉えると、それは何かを得ることで得られる報酬のように扱われます。これにより、幸福感が一時的なものになりがちで、持続的な満足感を得るのが難しくなります。
3. 追求と渇望:
・「幸せになる」ために特定の目標を追求すると、その達成に向けた渇望やプレッシャーが生じる可能性があります。これがストレスや不安の原因となり、逆に精神的な健康を損なうことがあります。

代替的な捉え方
4. 内面的な幸福感:

・幸せを「なる」ものとして捉えるのではなく、現在の状態から「感じる」ものと捉える方が、持続的な幸福感を得やすくなります。つまり、幸せは外部の条件によらず、自分の内面から湧き上がるものと見なすのです。
5. 現実の受容と満足:
・幸せを「ある」とか「感じる」という表現を用いることで、現在の自分の状態を受け入れ、その中で満足を見出すことが強調されます。これは、セロトニンの分泌を促進し、精神的な安定感や満足感を高めます。
結論
「幸せになる」という表現は報酬的な捉え方を助長し、外部条件に依存する幸福感を求める傾向を強めます。
これに対して、幸せを「感じる」や「ある」と捉えることで、内面的な満足感や持続的な幸福感を重視するアプローチが取れます。内面的な幸福感を重視することで、精神的な健康や安定を維持しやすくなります。この視点の転換が、より深い幸福感を得るために重要です。



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