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朝井リョウさんの2冊『正欲』『何者』

なんとなく思い立って朝井リョウさんの小説を立て続けに2冊読みました。

文庫化、映画化された
『正欲』

登場人物がそれぞれの目線で自分の考え、日々を語ります。

自分は正しいと自信を持っている父親。

自分の嗜好を理解してもらえる相手と出会って、契約的に一緒に暮らす2人。

学祭を成功させるべく、自分が思う正しさを周りにも伝えたい大学生。

嗜好が特殊だと思いながら、自分が自分らしくいられる場所を求めている大学生。

この大学生と、前述したわかりたい!を押し付ける大学生との会話は、ヒリヒリしながらの圧巻のシーンでした。

私は何よりも、自分が正しいとか、相手のことをわかりたいから話して、とかの押しつけは嫌いなんだなとこの本を読んで気づきました。
自分の色々な感情の、さまざまな層について向き合える小説でした。

次に、『何者』を。
こちらは、就活の大学生達の話です。

仲良さそうに見えて、自己が肥大していく就活。就活をキーにして繋がったメンバー。肥大した自己から発せられるトゲトゲしている言葉の応酬ならば、私ならこの仲良し欺瞞グループを抜けます。離れます。
でもきっと渦中なら、情報も欲しいし等々の理由で離れるのは難しいのでしょう。

そして、どうしても主人公に心を寄せて読んでしまうのですが、朝井さんはそんな読者に思い切り冷や水をぶっかけます。
それだけでも、読んで良かった!です。

何者かになりたいなら、他人を批評している場合ではない。
他人と比べて何かが違ったり同じだったりすることを探して自分が何者かになるわけではないのに。と思いながらの一気読みでした。

『チア男子!』以来の朝井リョウさん読みだったのですが、なかなか考えさせらるる事が多く、確かに読む前の自分には戻れない!でした。


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