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夜が永遠に続く国

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詩集Ⅰ(完結)
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どこで、間違えたのだろう
喧騒より静寂を
ただしさよりやさしさを
捜していただけなのに
夜の指先
青の流刑地
罰はすでにはじまっている
永遠の雨が降る

欠陥

こぼれ落ちる砂を眺めるだけ
上を見ることは許されない
ふと途切れるまでずっと

過去にばらまいた伏線たち
計られた筋書きは訪れない
何度ページを捲っても

どんな物語も
嘘をはらむしかなかった

必死でこしらえてきた意味も   
使い古したぼろきれのよう
歌いましょうか?
言葉じゃ足りないから

退屈

 空白が四方にのびる
 空白は内部に向かう
 時は眠る
 沈黙。

 沈黙が耳を塞ぐ
 沈黙が声を奪う
 沈黙を挨拶が破る
 挨拶。

 日が昇る頃無造作に
 日が沈むころ無造作に
 挨拶がこだまする
 こだま。

 あちらの壁でもはねかえり
 こちらの壁でもはねかえり
 鳴りやむことなく繰り返し
 鳴りやむことなく繰り返し
 鳴りやむことなく繰り返す。

 鳴り

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空っぽ

音の無い夜
溜息もらして
数えはじめた
星のまたたき
黒い空白
まぶたのうしろ
わたしは空っぽ
伝えたかった
秘密は夢の中
あなたも空っぽ
空っぽのこの世界

何も知らない幼子のような
こだまする声に言葉は乗らない

息を吐いても
涙こぼしても
わたしは空っぽ
縮んでゆくこの世界

女王

真夜中、時計は止まる

あの人は知らない
私が此処にいること
夜を統べていること

救いは訪れたが
それは無に帰した

差し出した手を
あなたは振りはらう
憐れみの視線を
あなたは拒む

あの人は知らない
私のかなしみが
この夜を
停めていることを