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カルロ・ロヴェッリの「科学とは何か」 - アナクシマンドロスの慧眼を通じて

我々は科学を知らない

古代の哲学者から現代の科学者まで、人類は常に宇宙と自身の存在について疑問を抱いてきました。

カルロ・ロヴェッリの著書「科学とは何か」は、この永遠の探求の根本的な部分、つまり我々の取り扱う「科学」とは何であろうかという疑問を、紀元前6世紀のミレトスの哲学者アナクシマンドロスの思考になぞらえて、解明していくという内容になっています。

2人の科学者

イタリアの理論物理学者:

カルロ・ロヴェッリは、現代物理学の最前線で活躍する理論物理学者です。
彼の著書「科学とは何か」では、科学の本質とその進化について深く考察しています。

ロヴェッリはアナクシマンドロスを「最初の科学者」と位置づけ、彼の自然現象への合理的なアプローチを賞賛していました。

ミレトスの哲学者:

「最初の科学者」であるアナクシマンドロスは、物事の本質を理解しようとする人類の最初の試みを象徴しています。
彼は、自然現象を神話や伝説に頼ることなく、観察と理論に基づいて解明しようとしました。

文章の中で挙げられている逸話として、

・地球上の水の循環(海→雲→雨→川)を見抜いた。
・地球が浮遊する物体(惑星)であることを見抜いた。
・生物の祖先が海の中から生じたことを見抜いた。
(本文p55~57より一部抜粋)

などなど、現在でも小学校で習うような内容を観察と推測により導き出しました。
他にもさまざまな逸話を残してはいますが、どの功績に対しても一貫して、当時は当たり前だった神や伝説の存在を一切含めずに記述している部分、ロヴェッリは、このアプローチが現代科学の基盤を形成していると指摘します。

ロヴェッリによる科学

ロヴェッリの著書を読むと、アナクシマンドロスの時代から現代に至るまでの科学の旅路が浮かび上がります。

彼は、科学が単なる知識の蓄積ではなく、世界を理解するための一連のプロセスであることを強調しており、このプロセスは、常に疑問を持ち、観察し、理論を検証することから成り立っています。

また、科学と宗教の差異にも言及しています。
一見すると、全く違うもののように思えるこの2つですが、論理的な正しさを信じる「科学」と社会と感情から生まれた神を信じる「宗教」のどちらも、「信じる」というものに基づいていることから、同質のものであるようにも捉えることができます。

しかし、この2つの最大の違いは、「自身が誤っているかもしれないという態度」を持つことができるか、というところにあります。
科学の既知を修正し続けようとする態度こそ、宗教の本質と大きく異なる点であると指摘されています。

「科学とは何か」を知るために

「科学とは何か」は、科学の精神を深く理解したいと考えるすべての人にとって必読の書です。
カルロ・ロヴェッリの洞察に触れ、アナクシマンドロスのような最初の科学者たちの足跡を辿ることで、私たちは自然界と自分たち自身についての理解を深めることができます。

この本を読んで、あなた自身の知的好奇心を刺激し、世界に対する新たな視点を手に入れましょう。今すぐ手に取り、科学の旅へ出発しませんか?

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