空き家解体ショー
先日も書いたけれど、お向かいさん(空き家)の解体が始まった。
昨日は、作業員の人たちが屋根に登り、瓦を取り外しては、下に投げていた。屋根瓦の下から現れるは土・土・土。辺り一面に舞い上がるは土埃。
近所の人が、ジェスチャーで「煙い!!」と、私に向かって猛烈にアピールしてくる。私も首を大きく縦に振り、同じくジェスチャーで返す。よりにもよって晴天。うおーい、小雨!!小雨希望!!
結局、小雨は降らなかったが、全体に水が撒かれ、まるで火事の跡のようになった。その日はそれで終わった。
一夜明けて、今日はショベルカーの出番である。
私は歯磨きを終えると、早々に二階の窓辺に体育座りで座った。
何しろエンタメのない田舎である。木造建築の柱をバキバキに折っていく様が見れるだけでも、相当なワクワクもの。
そうこうしているうちに、ショベルカーが動き出す。
柱を掴んでは剥がし、掴んでは剥がし。グワッシャーン!!土煙、ボワワワワワン!まるで、3D映画のようである。正直、何度か仰け反った。
さて、柱は剥がせても、太い梁はそう簡単には取り外せない。
息を飲んで見守っていると、チェーンソーを持った人が、ショベルカーのアームの先の「手の甲」みたいな部分に乗った!
そしてショベルカーが、その人をそのまま梁の場所まで持ち上げたのだ!どうやら梁は、前もってチェーンソーで切断してから、外すようです。
ウィーンという音がして梁が切断されると、ショベルカーは、手の甲に乗せた人を、地面にそっと下ろした。当たり前だけど、生身の人間には優しい。
って、ロボットアニメか!!!
その後も、ショベルカーは、ちょうど良い大きさの廃材を掴んだかと思うと、それを使って、おもむろに地面の掃き掃除をしたり、細長いヒモを掴んだりしていた。なんだか、可愛い生き物のように思えてくる。
しばらく目の前の解体ショーを眺めていると、父が椅子を持ってきてくれた。まさに特等席だ。
映画館でも動物園でもコンサートでもないけれど、非日常は楽しい。
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