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夫婦のすれ違いから歩み寄りまで

noteでは、自分の見えている景色や感じた心の動きを綴っています。けれど、普段自分が気づけていないテーマって意外にありますよね。

こんな切り口があったのか〜!そういえば…。と広がる言葉。

また、同じテーマでも、経験と視点が異なると言葉の膨らみ方が違っていきます。noteを書かれている方との交流も楽しみに、初めて「参加企画」に挑戦してみようと思いました。

「夫婦喧嘩のあと」

と題されて、悩みました。書こうと意気込んだわりには勢いが乏しく、今回は見送ろうかなぁなんて弱気に。

なぜかというと、私たち夫婦は喧嘩という喧嘩をしたことがないからです。楽しいことや笑えることがあると「僕たちって仲良しだよね〜」「ね〜」と確かめ合うのが日常茶飯事。

もちろん、わたしの一方通行の怒りはあります。しかし、ナマズの心が広すぎるため喧嘩になりません。

自分が悪いと思ったら、すぐにごめん。どうすべきだった?と下がった眉毛と共に改善を試みてくれます。

今回は、そんな我々の、一歩間違えれば夫婦関係に傷を残したであろう日のことを紹介したいと思います。

去年の夏ごろ、わたしはコロナに罹ります。2度目の感染は1度目よりも重症で、全身の痛みと高熱が身体を蝕んでいました。

寝ていても身体が痛い。起きていても身体が痛い。とにかく全身が痛過ぎてトイレへ行くのにも悶えます。

この時期は濃厚接触者の定義が緩くなった頃だったので、ナマズ(=旦那)は朝早くから出社していました。

夜が近くなり、そろそろ帰ってくるかなと寝ながらスマートフォンを掴みます。LINEで「夜ご飯のおかゆも用意できないくらい辛いから、早く帰ってきてほしい」と切実なメッセージを送信。

ブーブー、スマートフォンが振動しました。ナマズからの着信に出ると、心配する言葉を告げた後に「明日仕事で披露する、ダンスの特訓したいんだけど帰った方がいいよね?」と言います。

「「帰った方がいいよね?」」
って何?と思わず苛立ってしまいました。ただでさえ弱っているのに、お腹はグーグー。あなたの帰りを待ち望んでいるの!と伝えました。

これこそ、仕事とわたしどっちが大事なの!?ってやつですね。

ナマズは、すぐに帰る!と軽やかに電話を切ったのですが、わたしのプリプリは止まりません。心の余裕までもがコロナに蝕まれています。

階段を駆け上がるナマズの足音を聞き、やっとお粥にありつける…と薄目をあけると「ただいまーー!大丈夫かぁ、今お粥作ったるからな、もうちょい待っててな」と弱った私を愛でてくれました。

私のために動くナマズの姿を見ていると、怒りも少しばかりかポワポワ飛んでいきます。

お粥を啜りながら「さっき、『帰ったほうがいいよね?』て言われたの嫌だった」と自分の中に残っていた苛立ちを伝えました。

「ごめんね、僕もダンスが切羽詰まってて。僕がいた方がいいのか、いなくても大丈夫なのか、ちゃんと聞きたいと思って。LINE見る前だったんだ」

私の解釈した「帰った方がいいよね?」は、本当は帰りたくないけど、あなた的には帰った方がいいんだよね?という否定的なイメージでした。

でも、ナマズの意図は違ったのです。

そうか、さっきは、自分は辛い思いをしているのに!と妻を蔑ろにしてるように感じて怒ったけど、そう汲み取っていたのは私か。ナマズは、何を優先すべきかをちゃんと判断したかっただけなんだなあ。

自分の解釈を擦り合わせること、それがすれ違いからの歩み寄りを生むと思いました。ナマズと接していると、心の余裕が想像力をうみ、出来事をフラットに見つめることを思い出させてくれます。

家事を全て終えたナマズが、静かな音でダンスの練習を開始。私のために帰ってきてくれてありがとう。そう呟くと、心の余裕が戻ってくるような気がしました。



過去に綴った夫婦エッセイはこちら。よろしければ覗いてみてください。

なんで旦那が”ナマズ”なの?と気になった方はこちらへどうぞ。


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