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発達障害を持つ人がストレスを溜めずに適度な自己主張をするコミュニケーション法について

こんにちは。りおです。
今回は、「発達障害の人がストレスを溜めずに適度な自己主張を行う方法」について書きました。

発達障害を抱えるみなさんの中には、自己表現やコミュニケーションで苦労をすることが多いと思います。
口下手だったり相手を優先しすぎてしまったりして言いたいことが言えなくストレスを溜める。かと言って、言いたいことを言おうとすると攻撃的な物の言い方になり相手を傷つけてしまう(怒らせてしまう)。
こんな悩みを持つ方が多いと思います。発達障害を抱える私自身もその一人であり、常にコミュニケーションに苦労していました。

そんな方のためにお伝えしたいコミュニケーション・スキルがあります。
みなさんは、「アサーティブ・コミュニケーション」という言葉を聞いたことがありますか。最近はビジネスの場でも取り入れられ、どこかで耳にしたことがある方は多いと思います。
私は会社の研修でこのスキルを学び、ビジネスの場だけではなく日常生活の会話にも取り入れました。すると、次第に自分にとって苦手だった自己主張が楽になっていき、人間関係で悩むことも減りました。人間関係の不和が起こる前に、その芽を摘むことができるようになったのです。

「アサーション」や「アサーティブ・コミュニケーション」と言われることもありますが、意味はだいたい同じです。
(ちなみに、「アサーティブ(assertive)」の意味は「ポジティブな、自信のある」という形容詞です)
このコミュニケーションスキルを身につけると、
 ✔︎ 言いたいことを我慢せずに主張できる
 ✔︎ 相手を傷つけずに自己主張できる

というメリットがあります。

それでは本題に入ります。この記事の中ではアサーティブ・コミュニケーションの基本を説明しますが、最後にアサーティブであるために私自身が意識しているコツをお話したいと思います。これは書籍や他のサイトの記事にもないため、有益な情報であるはずです。




1.アサーティブ・コミュニケーションの基本


前提として、自己表現には以下の3つの型があると言われています。
 ・アグレッシブ
 ・ノンアサーティブ
 ・アサーティブ

アグレッシブは、自分の気持ちや意見を優先する「攻撃型タイプ」です。自分の考えが通ることが多いですが相手にとっては都合の悪い結果になります。自分は優位に立ちますが相手は不利な立場に置かれ萎縮してしまいがちです。人間関係の悪化にもつながりやすいです。
一方で、ノンアサーティブは、自分の気持ちや意見を表明しない「非主張型タイプ」です。相手は優位に立ちますが、自分の考えは出せないため、ストレスの原因になります。
最後に、アサーティブは自分の意見を優先するのでもなく押し込めるのでもなく、「適度に自己主張をする」という方法です。聞くべきところは聞き、言うべきところは言うことで、自分の意見も相手の意見も同等に尊重します。

わかりやすいように例をあげてみます。
シチュエーションは、「プライベートの予定があり残業せずに帰りたいと思っていた日の終業時間間際に同僚から仕事を頼まれた場合」としましょう。

同僚「これ今日中に終わらせてくれない?」
 →アグレッシブ「無理です」
  ノンアサーティブ「やります」
  アサーティブ「今日は難しいですが明日の朝一はどうですか」

アグレッシブでは直接的に自分の意見を主張のため同僚は良い気持ちはしないでしょう。関係にヒビが入る可能性があります。一方、ノンアサーティブでは相手の要求をのむことで早く帰れなくなりストレスを抱えてしまいます。
しかし、アサーティブでは、代替案を提示することで相手の仕事を引き受けるという意思表示もしつつ、「今日は難しい」という自分の意見も伝えています。アグレッシブとノンアサーティブのちょうど中間地点としての自己表現です。

もう一つ例を挙げます。次は友人同士の会話です。約束に相手が遅刻してきたとします。楽しみにしていた予定に相手が連絡がなく遅刻し、心配させられた故に自分は少し怒っている状況です。

友人「ごめん、遅くなった」
→アグレッシブ「なんで遅刻してきたの?」
 ノンアサーティブ(何も言わない)
 アサーティブ「私はすごく心配したよ。次から連絡してね」

アグレッシブは、相手に理由を問い質しながらも遅刻したことを咎めるニュアンスを含むため、相手を萎縮させたり怒らせたりしてしまいます。一方、ノンアサーティブは遅刻したことに対して、関係性の悪化を恐れて自分は何も言わないため、自分の怒りは解消されずモヤモヤが残ります。
アサーティブでは、自分の気持ちを伝えつつも、「遅れるときは連絡してほしい」と建設的な提案をしています。
このように、アサーティブ・コミュニケーションは、人間関係の不和を避けつつ建設的な提案を行います。自分の意見も相手の意見も同等に尊重するのです。私はこれを「自分も相手もOKな状態」と呼んでいます。

アサーションに関連するワード
✓アグレッシブ:強がり・尊大・無頓着・他者否定的・
        自分本位・支配的・一方的
✓ノンアサーティブ:引っ込み思案・卑屈・消極的
          自己否定的・他人本位・服従的
✓アサーティブ:正直・率直的・自他尊重・歩み寄り・柔軟的




2.アサーティブになるためのポイント


アサーティブ・コミュニケーションは、ややテクニカルなもので、練習すれば誰でもできるようになります。これからご説明する2つのポイントを抑えるためで、自分の自己表現がアサーティブなものに近づくはずです。

①アイ・メッセージ

アサーティブ・コミュニケーションの領域に関わらず、コミュニケーションのテクニックとして有名なものなので聞いたことがある方は多いと思います。
文頭に「私は~(I)」という主語を付けるため、「アイ・メッセージ」と呼ばれます。主語に「私は」を付けるだけで直接的でアグレッシブな表現が和らぎ、マイルドな伝え方になります。
例えば、部下が考えられないようなミスをして叱責したい場合に、「なんでそんなミスをしたの?」と、「(私は)あなたがミスをした理由を知りたいです」では、相手に与える印象が大きく変わります。

少し話がそれますが、良好な人間関係を築くコツとして私は「相手を褒めよう」とよくオススメしています。しかし、相手を褒めるという行為は、相手のジャッジにつながり上下関係が生じすることもあるため、苦手とする人も多いです。そこでアイ・メッセージを使うと、表現が優しくなり、「上から目線」が和らぎます。「その服かわいいですね」と「(私は)その服がかわいいと思います」では与える印象が異なります。

ユー・メッセージからアイ・メッセージに変えるだけで、自己表現のストレートさがなくなっていくのです。


②DESC法

これもアサーティブ・コミュニケーションのスキルの一つとしてよく言われるものです。
「DESC」とは、「Describe(描写する)・Explain(表現する)・Suggest(提案する)・Choose(選択する)」の頭文字を並べたものです。
このDESCを念頭に置いた自己表現をすると「相手も自分もOK」なコミュニケーションを目指せます。

最初の例では、同僚が就業時間間際に「これ今日中にやってくれない?」と仕事をお願いしてきました。このDESC法を用いた返し方をするとします。

Describe(描写する):「今日はこの後に大事な予定があり、難しいです。」
断る際に、ただ「無理」と突っぱねるのではなく、できない理由を客観的かつ詳細に説明します。

Explain(表現する):「本当は力になりたかったのですが、難しいです」
ただ断るのではなく、「手伝いたい気持ちはあった」と自分の気持ちや感情を素直に伝えています。ただし、感情を出しすぎることで事実と論点がずれてしまうこともあるので注意は必要です。

Suggest(提案する):「今日は難しいですが、明日の朝一はどうですか」
ただ断るのではなく、代替案を提案します。相手にとって「OKな状況」が作られます。

Choose:(選択する):「他に手伝ってもらえる人を探します」
最後のChooseは、Suggestで断れた場合の選択肢をさらに準備しておくということです。提案するからにはたくさん選択肢を提示することで、相手にとってのOKな状態を目指します。

注意したいポイントは、このDESC法はあくまで「お互いが納得して解決した状態」を目指すものだということです。「自分の意見を通す」という姿勢をやめて、相手の反応を見ながら妥協点を探っていくことが大事です。「相手も自分もOK」は忘れずに。

アサーティブ・コミュニケーションといえば、アイ・メッセージとDESC法の2つが有名ですが、最後に私が大事にしている方法についてお伝えしたいと思います。




3.「ジャイアンとのび太くん」を常に意識しよう


最初に自己表現法にはアグレッシブとノンアサーティブとアサーティブの3種類があると述べました。このうち、アグレッシブとノンアサーティブはよくジャイアンとのび太くんに例えられます。
言わずもがな、「お前のものは俺のもの」と強圧的に周囲を手中に収めるジャイアンはまさにアグレッシブタイプ。そんなジャイアンに対してものを言えず、常にひっくるめられてしまい、ドラえもんに泣きつくのび太はノンアサーティブタイプです。

私はアサーティブを意識する際に、よく心のなかにジャイアンとのび太くんを置いています。「この場面では、ジャイアンとのび太くんだったら、こう言うだろう」と常に両極端を考慮し、その中間地点を探ることで、自然とアサーティブに近づきます。また、自分の返し方がジャイアン(のび太くん)になっていないか、常に考えます。

大事なのは、日常会話においても社内チャットを送る場合にも、自己主張をする際に一呼吸おくことです。自分の発する言葉をメタ的に見ることで、相手を傷つけることを防ぎ、自分がアサーションができていることを確認します。
アサーティブ・コミュニケーションと、自分の置かれた状況や自己の振る舞いを客観視するメタ認知は、切っても切れない関係にあります。アサーティブ・コミュニケーションを訓練すると同時に、メタ認知についても学んで身につけていきましょう。
メタ認知に関してはこの記事で解説しています。




4.おわりに


今回はアサーティブ・コミュニケーションについて紹介させていただきました。
それほど難しく考えずに、アイ・メッセージなど自分にとって取り入れやすいものから意識するだけで、コミュニケーション力がぐっと変わってくるはずです。私も心のなかにジャイアンとのび太くんをおいているだけで人間関係の不和がぐっと減りました。

アサーションについて詳しく知りたい方はこの本がオススメです。さくっと読めてしまいます。


他の記事でも発達障害のハックや雑談など、生きづらさを感じる人にとって役に立つような内容の記事を書いています。よろしければ他の記事もご参照ください。
今回も最後までご覧いただきましてありがとうございました。
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