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今週の日記 喉のイガイガ 最終回

金曜日
遂に今日でイガイガとはお別れです。
何だかんだ寂しくて、早朝に目が覚めてしまいました。
まだ朝の5時です。イガイガは肩甲骨にいます。
もう一度寝ようとするも、寝られずにいると、
イガイガからまた何か聞こえてきました。
「..ガス...じょ..ほっ...すべ..しで..パクッ..んけ......」
前よりかは、はっきり聞こえました。
何か心当たりがある気もします。
右手を左胸に添え、左手を胸に添え、斜め上を向いて、何を言っているのかを考えてみました。
すると、このポーズはザビエルのポーズだと言うことに気づきました。
このポーズはやめました。
すると、全身に電流が走ったような感覚で、
ビビッと突然何かに気づきました。
妻が、つま先に電極を付け全身に電流を流していたのです。
「やめて」と言いました。
しかし、思い出しました、このイガイガが何と言ってるのかを。
「ガス代のこと『ガスよ』って言う女性と勘違いした話は、ほっしゃんがすべらない話でしてたやつのパクリやんけ!!」
そうです!ほっしゃんが2001年のすべらない話でしてた「がすよ」の話を部長が、自分のエピソードトークのように話したのです!
部長が話をパクったのです!
それを指摘してやろうとした時のフレーズだったのです!
私は、部長に気を遣いそれを言えず、そのフレーズを飲み込んでしまったがために、喉にイガイガとして残ってしまったのです!
全て合点がいきました。
それと同時に部長への怒りが沸々と込み上げて来ました。
必ず言ってやる。叩きつけてやる。今日言ってやる。
この時点で朝7時、出勤の準備を始めます。
気合入れていきます。
ズボンだけでなく、靴下にまでアイロンを当てました。
アイロンでピンピンの靴下を履き、ネクタイをしっかりと締めました。
不安そう、というより、少し怪訝な顔をした妻に、
男らしい野太い大きな声で「行ってきます!」と言い放ちドアを開けました。
最寄り駅まで10分。
5分ほど歩いたところで、
全裸にネクタイと靴下しか身に着けていない事に気付き、引き返しました。
その後、普通に服を着て、普通に家を出ました。
しかし、「部長に言ってやる」という覚悟は一切変わっていません。
普段より少し早めに会社の玄関に入り、エレベータにのり、自分のフロアに到着しました。
そこからは怒涛の勢いで、ドカドカと部長の座るデスクへ小走りで進みました。
その勢いで、言ってやりました。
「ガス代のこと『ガスよ』って言う女性と勘違いした話は、ほっしゃんがすべらない話でしてたやつのパクリやんけ!!」
部長は、面食らい「ふぇや」と言葉にならない声を漏らしました。
一瞬の静寂の後に、周囲から「このクソ部長!」「よく言った、もっと言え!!」などと、地響きのような罵声が部長に浴びせられました。
私はあまりの興奮に、その後の事はあまり覚えていません。
ただ、その後2階級昇進したことだけは、知っています。
イガイガもいなくなりました。

おしまい

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