見出し画像

作家になれる人、なれない人

基本的に作家は誰でもなれます。というのも文字さえ書ければ小説は書けますからね。日本の識字率を考えると、ほとんどの人が小説を書けるスキルをすでに備えています。

しかも小説はコストがほぼかからない。紙と鉛筆、パソコン、スマホがあれば書けるんですから。創作に関するハードルがとにかく低いんですよ。

ただ目標がプロ作家になると、少しハードルが高くなります。プロ作家の定義が今はかなりあいまいですが、一応商業出版できるかどうかというところにしておきます。

noteでもプロ作家を目指している人がいますが、こういう人は要注意というのがあります。

まず第一は、『著名な文学賞を目標にしている人』です。

芥川賞を取りたいという方が書いたnoteを読んだんですが、文学賞を目標にしてしまうと作家は不幸になる傾向にあります。

新人賞はいいんですよ。ある一定のレベルに達していれば、新人賞は間違いなく取れます。傾向と対策が立てやすいのも特徴です。

ですが文学賞となると、それが非常にあいまいです。ある水準まで行くと、もう審査する人の好みになってしまいます。目指して獲れるというものではないです。

あと文学賞を取りにくいジャンルというのもあります。

例えばラノベやSF小説を書いていて、直木賞はなかなかとれないですよね。そこで直木賞がとりたいからといって、自分が得意でもなく書きたくもない時代小説を書くというのは本末転倒です。

文学賞はあくまで結果であって、目指すものではないんですよ。

あと文学賞を目指す人って、ある種作家というものに幻想を抱きすぎている傾向にあるんです。

小説を書きたくて書きたくて仕方がないから書くというのではなく、作家という職業への憧れから書いている。文学賞ってその象徴なんですよ。

創作の動機がそうだと、結果が出ないと書けなくなってくるんです。文学賞を取りたいというガソリンは純度が低いんです。

あと第二は、『批評癖のある人』です。

作家を目指しているということは読書好きでもあるので、みなさんいろんな本を読んでいます。

だから作品に対してあれこれ言いたくなるのもわかるんですが、そこはぐっと堪えないとダメです。

普通の方ならばぜんぜんいいんですよ。批評したりけなしたりするのも読書の楽しみの一つですから。褒められたことではないですが、否定はしないです。

でも作家になりたい、プロになりたいと考えている人は話は別です。

その道の先輩の作品を、まだスタート地点に立ってない人があれこれいうのは姿勢として間違ってますよね。

そこは表に出してはいけないです。

ツイッターである作家志望者がいろんな作品をボロクソにいっていたんですよ。

ところがその人は新人賞を取ってしまったんです。

編集者が過去ツイートを見て、「すぐに消してください」と指示し、慌てて
ツイッターアカウントを削除しました。

特に何か問題が生じたというわけではないですが、その方のデビュー作は売れず、一作書いただけで終わってしまいました。

やっぱりその世界の先輩に敬意を払えない人が、その世界で通用するわけがないんですよ。

例えば作家志望者の方で、「純文学作家はもっと読まれる作品を書かないとだめで、読者の理解を得るための努力をしなければならない」と書いてたんですね。

この方は純粋にそう思い、業界に対する提言をしているだけかもしれないですが、先輩の純文学作家に対してかなり失礼な発言です。

作家はみんなその努力をしています。

あとそういうことを言いたいのならば、プロデビューしてから発言するべきです。スタート地点に立っていない人がとやかく言うことではないです。少なくとも僕ならばそうします。

本名やペンネームで書かなきゃいいだろうと考える人もいるかもしれませんが、SNSでその手の発言をしていると、そういう腐臭って滲み出るんです。

以前紹介した『読者ハ読ムナ』でも、その業界の先輩に対して敬意のないやつはだめだと作者の藤田先生は書かれていました。

作家の世界も意外に横のつながりがあって、先輩の作家さんが助けてくれることも多々あるんです。

僕も先輩の作家さんに助けられましたし、後輩の作家の後押しをすることもあります。

一作目がダメでも、先輩作家さんがいろんな出版社さんを紹介してくれて、二作目、三作目が出せて結果が伴ったりもするんです。

もしこの作家志望者の方のような文章をプロの純文学作家さんが読んで、「こいつ助けてやりたい」とか思いますかね? どう考えても思わないですよね。少なくとも僕は力を貸す気はないです。

というか作家の世界に限らず、どの社会でも共通する当たり前のことなんですよね。

批評癖のある作家志望者の方は十分に注意してください。

↓最高の感動作です。おすすめです。ぜひ読んでみてください。






よろしければサポートお願いします。コーヒー代に使わせていただき、コーヒーを呑みながら記事を書かせてもらいます。