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とあるカスタマーサクセスの読書記録

最近はカスタマーサービスという言葉が気になっています、りんたろうです。オフィス近くの丸善でカスタマーサクセス関係の本棚をうろうろしていたら、「カスタマーサービス」というワードが目に入り手に取ってしまいました。

顧客体験について何かヒントがあればなーって思い、せっかくなので読書記録も兼ねて、感想文を書きたいと思います。

▼ 今回読破したのはこちら

こんな方におすすめ!
・カスタマーサポート、コールセンターなどのお問い合わせを受け付ける部門に所属されている方
・お問い合わせを受け付ける部門のマネジメントをされている方
・お客様体験における「よくなさそう」という感覚の、数的な根拠・参考指標を探している方

2/3くらいまでの内容まで、CX体験を作る基礎は、トラブルを発生させないことを原則に、

  1. プロダクトの正しい利用方法を伝える

  2. 窓口を設ける

  3. 受け付て解決する

  4. トラブルの発生を未然に防ぐ取り組みを繰り返す

上記4点を徹底することで、CX体験を作ることができるという考えがベースとなってる本でした。カスタマーサポートに関わる業務をされている方には特におすすめしたい内容です。

随所に実企業の取り組み事例が散りばめられていて、数的根拠を示しながら解説されていたので、これまで「多分そう」「確からしい」というレベルのフワッとした話をより具体の話にできそうだなと感じます。

最初に感動した内容ですと、新規獲得のコストが既存のお客様の維持コストよりも高いことはよく聞くけれど、具体の数字に触れたのは初めてでした。

顧客の対応コストに対して、広告宣伝コストが5倍、営業コストが8倍、24の業界で2 - 20倍のコストがかかっていることは、LTVの向上の話や、新規獲得のコストの大きさの話をする機会があれば、具体の例として話の根拠にしたいです。

次に実体験とも重なるのですがカスタマーサービスにおいて、「メールは24時間以内の返信が望ましいとされてきたが、2-4時間に短縮されつつある」というのは、前職の3時間以内にメール返信をした方が良さそうだからしようという取り組みに通じるものがありました。

当時は「良さそうだからしよう」のなんとなくの時間設定でしたが、このように数字として根拠示されると、感覚が正しいという証明になったと感じます。

他には調査のしにくい数字や調査についてのレポートが興味深かったです。

例えばトラブルと解約の関係についての内容。
トラブルと解約は関係していることはその通りだと思っていますが、トラブルを体験したお客様の20%が解約の可能性があるという、具体の数字で聞くとなかなか高いなと感じます。

他にもいくつかあったので抜粋します。

サポートに関する内容が主に占めていますが、もちろんサクセスに通じる部分もあり、適切なクロスセルとは、お客様の困りごとを予防するものという一文。
カスタマーサクセスの活動は全てお客様視点を見失ってはいけないと再認識しました。クロスセルは売上のため "だけ" ではない、適切なクロスセルは営業ではなく、サクセスだと強く感じました。

エモーショナルコネクションとは顧客接点において作り出す感情的な繋がりについてのまとめられた章。
前職の施策にて、お問い合わせメールのラリーが続いても、途中から他の人に引き継げるようにと、メールで対応者を名乗らない時期ありましたが、それによって発生するクレームがあったことを思い出しました。
クレームの原因は、エモーショナルコネクションが作れてなかったからという、当時分からなかったクレーム理由がわかった気がします。

お客様からの一次対応者で解決できず、二次対応者が折り返し電話等で解決を図る場合の話。
一度でお客様に繋がる確率は3割未満データがあると、どのようにして一次対応で解決するかが即時解決の鍵になりそうです。一次対応者の育成と権限って大事だなぁと思います。

他、記憶に残っている話ですと、カスタマーサービスにはデジタルツール駆使して情報をこまめに取りに行こうぜ・残そうぜ、という話が記憶に残っています。

テクニック論的な部分で印象深かったものを一つ。
たくさんある中で大事なこと3つだけ伝え、2週間後に接点を持つ車メーカーの事例、プロダクトをほぼ触れていないタイミングのお客様のオンボーディングで使えそうな気がします。

さて、ここまでの内容は

  1. プロダクトの正しい利用方法を伝える

  2. 窓口を設ける

  3. 受け付て解決する

  4. トラブルの発生を未然に防ぐ取り組みを繰り返す

これらの4点を軸に展開されていました。

その総まとめのような離反リスク顧客を減らすには?の章では、

 A)トラブルを申し出てもらうこと、
 B)申し出たトラブルを満足して解決できたこと、
 C)そもそもトラブルを感じないこと

3点を実例ベースで例示してあり、A〜Cのどこに注力するかで結果が違うという【顧客損失モデル】の考え方が衝撃的に面白かったです。
繰り返しここまでこの本にででくる、苦情の申し出のアクセスを良くしましょうって、この章の内容に繋がるのかなと思います。

残りの1/3はサポートに就くスタッフの育成とマネジメント論でした。
「対応に就くスタッフがストレスで疲れ切って退職してしまったが、影響を計算したところ、スタッフの年間給与の倍近くに相当する収益損失につながってるケースもあった」って例示文があり、これは心当たりがあり解像度高く理解できました。
間接部門の負担を軽視して、いざ彼ら・彼女らのサポートがなくなった時に、じわりじわりと毒のようにお客様の不満が増えていったこと。きっとそれによる解約も当時はあったんだろうと、想像し難くない記憶が蘇りました。

最後になりますが、クレームで不満が収まったことと、満足に解決したことは違うということは肝に銘じたいと思います。
レポートでは、不満の収束と満足では、継続更新する割合は10%もの差分があるとのことでした。
機能で解決できない課題を、運用で解決する提案を行う際には、不満の収束ではなく、どうしたら満足に感じてもらえるのか、言葉選びや話の展開に気をつけたいなと思います。

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