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【ショートエッセイ】似つかわしくない場所で咲く花

毎朝同じ駅の同じホームの同じ乗車位置で電車を待つ。
電車がやって来る束の間に、線路際にある雑草を見る。

最初はよく見かける雑草かと思っていたが、日に日に成長していく。
いつの間にか黄色の大きな花を咲かせていた。
殺風景な線路に似つかわしくない綺麗な花だ。

なぜそんな場所で咲くのだろうか。
植物で溢れる草原や花壇が整備された公園や、似つかわしい場所はいくらでもあったはずだろうに。
そんなところに咲けば、もっと綺麗と思われただろうに。

鳥がそこに種を落としていったのだろうか。
根の張った土がたまたまそこに運ばれてきたのだろうか。
悲しい運命だ。

人間の中にも、この花のような人がいる。
生まれた場所がたまたま悪かったってことだけで・・・。

紛争地域で常に命の危険に怯えながら暮らす人。
貧困な地域に生まれ育ち、明日の食糧を求め彷徨う人。
親から虐待を受け続けて、生きる喜びを知らずに育った子供。
皆、絶望に苛まれながら生きている。

生まれた場所さえ違っていれば、持って生まれた才能を開花させられた人もいたかも知れない。

それでも花は咲く。
人は花のようにはいかないかもしれない。
それでも花は咲くんだ!

それぞれの人の花はどんな花かは分からない。
小さな可愛らしい花なのか、大きな太陽みたいな花なのか・・・。
でもみんな心の中に花の種を持っている。

どんな悲しい時でも、どんな悲惨な場所でも花は咲き誇る。
皆さん、どうか諦めないで。


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