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【連続note小説】日向食堂 小日向真司38歳

日向食堂もやっと軌道に乗ってきた。
そんなある日、歳之がふらっと日向食堂にやって来た。

真司:「いらっしゃい・・・、なんだ歳之か」
歳之:「なんだはないだろ」
真司:「なんか食って行けよ」
このころには歳之は苦労の末に司法試験にパスし、弁護士の卵として仕事をしていた。
時刻は午後二時を過ぎていたが、昼ご飯を食べていなかった歳之は、コロッケ定食を注文した。

真司:「いろいろ悪かったなぁ、お金は少しずつだけどちゃんと返すよ」
歳之:「お金?いらないよ。あげたんだから」
真司:「そんな大金もらえるかよ」
歳之:「いらないものはいらない。持ってきたって受け取らないからね」
さすがの真司もお手上げだった。

歳之:「兄ちゃんからは、金に換えられないものをもらってきた。おれのせいで兄ちゃんの青春を台無しにしてしまったし・・・」
真司:「いや、違う。あれがおれの青春だ」

コロッケが揚がった。
真司は皿に載せたコロッケを歳之に手渡しながら言った。
「皿から落とすなよ」
歳之は懐かしそうに笑っていた。


▼関連エピソードはこちら


真司が生まれてから人生を全うするまでを連載小説として描いていきます。

<続く…>

<前回のお話はこちら>

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