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【連続note小説】日向食堂 小日向真司44歳

幸次が子犬を払ってきた。
真司のアパートは狭い上に、ペットを飼うことを禁止されていた。
日向食堂は食べ物を扱う店だから、動物を置いておく訳にはいかない。
 
小学生の幸次が子犬を抱っこして悲しそうな顔をしている姿を見て、真司もあおいも何とかしてやりたいと思った。
 
真司は考えた挙句、幸次と犬を連れてある場所を訪ねた。
 
稲本:「真司、いい加減にしろよ。
うちの会社は動物園でも保護施設でもないんだぞ」
真司:「稲本のおじさん、ダメって、仕方がない。
その子犬、捨てに行こうか」
幸次:「いやだぁ、そんなことしたら死んじゃう」
幸次は泣き出してしまった。
 
稲本:「わかった、わかった、ちゃんと若いやつに面倒みさせるから泣くなよ」
幸次:「ありがとう、稲本のおじさん」
 
稲本:「真司、こいつ、さっきまで泣いてなかったか」
稲本の突き刺さるような目線にも幸次はまるで動じない。
 
真司:「やっぱり来てよかった、なぁ幸次」
幸次:「おじさん、たまに遊びに来ていい?」
稲本は苦笑いするしかなかった。


真司が生まれてから人生を全うするまでを連載小説として描いていきます。

<続く…>

<前回のお話はこちら>

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